『ピクミン4』は実質『オッチン4』? 主役を“食う”ほどの存在感を放つ「オッチン」の功罪
物語も体験もオッチンに集約する
とはいえ、この程度であれば「オッチンは役に立つ相棒」くらいの存在で収まるだろう。『ピクミン4』がなぜ『オッチン4』と言われてしまうのかといえば、やはりメインストーリーの後半に大きな理由がある。
本作のメインストーリー後半では、物語の大きな目的が「オッチンの病気を治すこと」になる。未知の惑星を脱出するだけでなく、おかしなことになってしまったオッチンを助けることが最終目標になるのだ。
たしかに『ピクミン4』を遊んでいるとオッチンはとても頼れる相棒だと感じられるし、それゆえに話の流れとしてもこの病気はまったく不自然ではない。しかしこの瞬間、もう一種類の相棒であるピクミンは本当に添え物であるかのように感じるのだ。
それこそピクミンは、自分の身を呈してリーダーを守る存在である。その不思議な従順さが大きな特徴だというのに、ゲームの流れは哺乳類のようなオッチンのほうに同情的になっていってしまう。「オッチンを助けるためならば、ピクミンはいくら死んでもかまわない」くらいの気持ちにすらなりうる。
こうなると、メインタイトルになっている「『ピクミン』とはいったいなんなのだろうか?」と考えてしまう可能性すらある。もはやピクミンを食うくらいに、オッチンが前に出てくるのだ。
オッチンが『ピクミン4』のおもしろさに大きく貢献していることは間違いない。本作ではオッチンに乗って移動できるのが非常に快適だし、突撃してピクミンを一気にけしかけたりと、オッチンのおかげで煩わしさがかなり少なくなっている。
ゲームが得意でない人もオッチンをきちんと鍛えればかなり遊びやすくなるだろうし、ニオイを嗅ぐシステムも誘導として親切である。オッチンが必要なギミックも用意されていたりと、もはや欠けてはならない存在になっている。
まさしく、犬は人類の友である(本作の主人公は厳密には人類ではないのだが)。しかし、本来の相棒だったピクミン以上に目立っているのは「ピクミン」シリーズとして大丈夫なのか。オッチンは“良い発明”であると同時に、ピクミンの仕事を奪い取ってしまう存在ですらあるのかもしれない。
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