連載:エンタメトップランナーの楽屋(第七回)

男性アイドルは「ファミリー売り」がヒットの要因? FIREBUG 佐藤詳悟×つばさ男子プロダクション チーフマネージャー堀切裕真対談

プロデューサーに欠かせない思考の型。WACK・渡辺淳之介氏考案のつばさレコーズ10箇条

堀切:僕も今日、佐藤さんに一つだけ聞きたいことがあって。吉本を辞めて起業しようと思った決め手って、何だったんですか?

佐藤:なんだろうなあ。辞められたから辞めた、っていうのが一番大きいかもですね。タイミング的に辞めれた。果たして自分が経営者になりたかったのかというと、そういう強い思いがあったわけでもないし。なんか答えになってなくてすみません。

 でも芸人さんだけじゃなくて、もっと色んな人と仕事をしてみたかった、というのはあるかもしれないです。あとはソーシャルメディアやYouTubeが出てきたことで、芸能事務所の存在意義って、どんどん薄れていくと思っていたんですよね。芸人にしてもアーティストにしても、インディペンデントで活躍する人が増えていくんじゃないか、と。そういう人が何か新しいことをしようと思ったときに、足りない部分をサポートしてあげられたらいいな、という思いでつくったのがFIREBUGという会社です。

堀切:たしかに、時代としてはそうなりつつありますよね。

佐藤:ただ、そのなかでアイドルだけはいまだにプロデューサーを必要とするジャンルだと思うんですよ。プロデューサー次第でアイドルっていくらでも変わるわけじゃないですか。

堀切:そうですね。そこはやりがいでもある反面、責任も感じる部分ですね。ほんと、人生を預かるくらいの覚悟でやってます。

佐藤:そういう堀切さんみたいな仕事の仕方に、すごい憧れもあって。もう一回モノをつくりたい気持ちというか。でも、どこか怖いとも思っちゃうんですよね。なんだろう、年齢ですかね。自分で言うのもなんですけど、僕って優しいんですよ。だから「こうしたらいいんじゃない?」と言えない気がします。アーティストファーストにしちゃうんですよね、多分。だからアイドルのプロデューサーには向いてないと思いますね。

堀切:僕の場合は、淳之介さんというお手本があったことも大きいかもしれないです。

佐藤:具体的に、こんなことを教えてもらった、とかあるんですか?

堀切:実はその話になるかと思って、当時もらった資料を持ってきたんですよ。A&Rがやるべきことをまとめてくれたシートなんですけれど。10個ある設問のすべてに答えられれば、そのプロジェクトはスタートしても大丈夫だ、と。実際、CUBERSのときも、スパフルのときも世が世のときも、このシートを埋めるところからスタートしました。

佐藤:モノをつくってる人たちって、実は物事を深く考えてない人がほとんどだと思うんですよね。そもそも考え方がわかっていないというか。だから考えなしに行動して、時間を無駄にしたりしちゃうわけです。でも、堀切さんが淳之介さんから学んだような思考の型があると、何を考えればいいのかがわかってくる。そうすると、同じ限られた時間を、どんどん有効につかえるようになる。いろんな人と話してみて思うのは、ヒットを生み出せる人って、つまるところ深く考えてる人だと思うんです。今日、堀切さんとお話ししてみて、改めてそう思いました。最後に、今後のつば男の展望も教えてもらえますか?

堀切:つば男の基礎をつくってくれたCUBERSは、2024年の3月で解散が決まっています。だから、これからはTHE SUPER FRUITと、そしてそのライバルでもある世が世なら!!!に、CUBERSの分も、大きく成長してほしい。新たなグループの立ち上げも徐々に考えています。ここから5年くらいが、つば男にとっても自分にとっても大切な時期だと思うので、一層引き締めてがんばっていきたいですね。僕の夢はこの事務所から男子部門というないものを立ち上げたところから始まり、野望としてはアリーナTOURを回れるようになりたいです。絶対に見たい景色だし、共有したい景色だし、その時まで男泣きはしないようにと決めてます。

■『つば男 SUMMER FES 2023』

2023年8月6日(日)17:00
東京都 ステラボール
生配信視聴チケット購入先:https://l-tike.zaiko.io/e/tubadan
※現地チケットは完売済み。

<出演者>
CUBERS / THE SUPER FRUIT / 世が世なら!!! / シャッフルユニット
オープニングアクト:つば男 YOUTH / つば男 KIDS

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