Netflix『あいの里』は恋愛リアリティショーではないーー『あいのり』から“人間の素”を撮り続けてきたプロデューサーが明かす制作秘話

『あいの里』プロデューサーが明かす制作秘話

恋愛リアリティーの「疑似恋愛」ニーズはまだ続く

――『あいの里』が恋愛リアリティショーとして好まれたのは、制作陣のこだわるドキュメンタリー性と、恋愛との相性がよかったことも一因でしょうか。

西山:そうですね。「泣ける恋リア」と評価してくださった方も多かったようです。恋愛をしている人々は、色々な表情を見せてくれるんですよね。かっこつけたり、取り繕ったり、そうかと思えばちょっとずれていたり、結果的に弱さを見せたり。

 ドキュメンタリーと恋愛の相性の良さは、僕たち自身が『あいのり』時代から経験してきたことです。しかし、世間の受け止め方は少し変わってきたように思います。

 令和の恋愛リアリティーショーは、バラエティ番組ではなく、一つの疑似恋愛の形として求められているのではないかと感じています。“推し活”などに始まる擬似恋愛コンテンツの市場は、若者を中心にさらに広がりを見せています。

 一方で『あいの里』のようなリアルな側面を見せる番組に関しては、SNSの普及や不景気など、様々な要因が重なって、まるで友だちの“恋バナ”を聞いているかのような、よりリアルな恋愛バラエティが求められているからこその反響かもしれませんね。

――西山さんは今後、恋愛リアリティー番組はどのように変容していくと思いますか?

西山:まず、淘汰はされず残っていくと思いますね。疑似恋愛は自分が恋愛をすることに比べると傷つくことや面倒なこともないですし、SNSで意見を発信すれば、自己承認欲求も満たされる。少子化は進んでも、恋愛リアリティーショーによる疑似恋愛のニーズは続くでしょう。

 また、人気を博して作品が増えすぎたことで廃れていったドキュメントバラエティーが、今回のような形で再注目されたことも鑑みると、流行が巡って、平成的な恋愛番組がまた増えていく可能性もありますね。

 ただし、よりリアルな恋愛が追求されるようになればなるほど、制作ハードルは上がっていくはずです。視聴者の欲求を満たす、人間的な画が撮れなければ、新しい作品が人気を獲得するのは難しいでしょうね。

――最後に、作品が無事配信され、世間から受け入れられた今のお気持ちを教えてください。

西山:『あいの里』が評価されたのには、様々な要因があると思っています。制作スタッフたちに、自身の心をさらけ出してくれたメンバー。それに、僕たちが真に伝えたいと思っていたところに毎話言及してくれる、MCのベッキーさんと田村淳さん。そして、偏見なく作品を楽しんでくれた視聴者の皆さん。メンバーに対しアンチの矛先が向くようなこともなかったことにも、ほっとしています。

 僕自身、このような作品を撮ることができたことに非常に満足していますし、撮影現場にも驚きと感動の連続があり、制作スタッフにとっても貴重な経験になったと思います。今後、さらに多様な恋愛を撮影できる、シーズン2の制作が決まることに、僕も期待しています。

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