『Weekly Virtual News』(2023年7月10日号)

VTuberもTwitterからThreadsに移住の動き? ホロライブのアーティスト展開も加速した7月初週

Threads? それともMisskey? Twitterからの”移住先”はどうなる

 予告なきTwitterの利用制限によって、先週は少なくない人が不便さを感じただろう。いろいろな意味で不安定になったTwitterに見切りをつけ、別の場所へ移住を検討する人も中には見られた。筆者もその一人だ。

 前代未聞の混乱の最中、Metaが動いた。Twitterライクな短文投稿サービス「Threads」のリリースである。機能としてはまだミニマムだが、Twitterに求めているものはだいたいそろっており、投稿読み込み制限や、複雑な機能はない。”シンプルなTwitter”である。もう少し機能を充実させてほしいが、余計なものがないぶん使い心地は意外によい。

 住人は多種多様だ。アーリーアダプターはもちろんいるが、「Instagram」のアカウントと連動するSNSゆえに、華やかなインスタグラマーも多い。テキスト中心で投稿するTwitter出身者と、画像中心に投稿するInstagram出身者という、まるで出自の違う人々が交錯する。

 そして、注目度の高さからか、著名人、企業・メディアアカウントも訪れている。フォロワー数を荒稼ぎする人や、情報商材屋、スパムbotもある。新興SNSとしては、類を見ないほど活気があり、サービスイン直後ならではのカオスが渦巻いている。

 VTuberも一定数がアカウントを開設している。有名どころでは兎鞠まりのアカウント開設を確認している。「ホロライブ」スタッフの友人Aも開設した模様だ。ほかにも、新しいもの好きやテックに関心のあるVTuberなどがアカウントを開設している。多くは「Instagram」にアカウントを作っている人がスライドに成功している印象だ。

 数名ほど、これからデビューするつもりのVTuberも見られた。ちょうどTwitterが機能不全に陥ったこともあり、緊急のPR先として選定したのだろうか。既デビュー者の中にも、知名度アップを狙う野心家の姿も見られ、フォロワー稼ぎを狙う相互フォロー・拡散アカウントに乗っかる動きも確認できた。あらゆる希望・好奇心・目的がないまぜになっている。それだけ、多くの人が注目するプラットホームということだろう。

 一方で、ソーシャルVRユーザーは「Misskey」への移住傾向が強いように見られる。分散型SNSであるがゆえ、テーマ別のサーバーを構築できることから、同行の士を求めたい「VRChat」ユーザーなどには相性がよいのだろう。特化サーバーには2000人近くのユーザーが登録しており、大きな移住先として注目されている所感だ。

 大きなポイントとして、「Threads」は分散型SNSの標準プロトコル「ActivityPub」をサポートしている。どういうことかと言えば、「Threads」と「Misskey」の相互接続ができる可能性が高い、ということだ。そして、Twitterに代わる巨大な情報公共空間の候補「Threads」と、テーマ別に細分化されたコミュニティ「Misskey」がつながることで、「棲み分け」を人々が意識する可能性がある。そうなった時、Webプロモーションのあり方は大きく変わるだろう。バーチャル界隈もまた、その影響を受けるはずだ。

にわかにホロライブのアーティスト路線が加速? HoneyWorksもVTuber業界に参入

 VTuber業界に目を向けると、先週は「ホロライブ」から話題が多く発信されていたように思う。

 まず、アーティスト活動が目覚ましいMori Calliopeが、『ONE PIECE』とタイアップした。漫画106巻発売を記念し、  公式テーマソング『未来島 ~Future Island~』を歌唱。新宿ユニカビジョンでミニライブまで開催した。タイアップに合わせた新衣装も発表しており、かなり本腰を入れたコラボを展開している。

 また、0期生のAZKiがビクターエンタテインメントからメジャーデビューすることも明らかになった。さらに、「ホロライブプロダクション」とユニバーサルミュージックの合同レーベル「holo-n」まで発表され、アーティスト展開への注力がスタートしている。夏ならではの企画として「ホロライブサマー」も発表され、3Dライブやコミックマーケット出展など、複合的な展開を見せている。

 新興勢力として、クリエイターユニット「HoneyWorks」によるVTuber事務所「AiceClass」の始動は見逃せない。これまでVTuberとのタイアップが多かった「HoneyWorks」自身の業界参入である。事務所としては、音楽、アイドル、イラストレーターという「部門」を設けているのが大きな特徴で、タレント一辺倒ではない多面的な展開を予感させる。

とあるvtuberの中の人だった時のお話・・・。【P丸様。】

 そしてちょっとした余談として、YouTubeの人気マルチエンターテイナー・P丸様。が、「あるVTuberの声優」をやっていたときの話という動画をにわかに公開した。そのVTuberは……動画を見れば一目瞭然なので、あえて文中には記さないでおこう。「まだまだ言えないことがある」と語る彼女の口から、在りし日のエピソードが全て語られるか、ゆっくりと眺めていたいところだ。

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