『takt op. 運命は真紅き旋律の街を』は、クラシック音楽がエンタメと文化をつなぐ“新時代のRPG作品”だ 各要素が高次元で調和した同作をレビュー
シナリオ・演出・グラフィック・音楽の“四位一体”感 クラシック音楽の擬人化で、エンタメ・文化間の架け橋に
シナリオ面では、社会に対する提起的な要素を含んだ重厚なテーマ・セリフが目を引いた。「種の保存」「命の選別」といったキーワードはその一例だ。ビジュアルだけを見ると、キャラクターデザイン先行のライトでカジュアルなタイトルのように感じられるが、実際にプレイしてみると、その印象は180度変わる。
また、一部のキャラクターエピソードは、アニメで描かれた内容とも話がつながっており、こうした点はメディアミックスプロジェクトならではのシナリオ表現だろう。
そして、そのシナリオ表現は、演出や音楽によっても支えられている。それぞれの要素を妥協せずに作り込んでいるっている点もまた、『takt op. 運命は真紅き旋律の街を』の見どころだ。
演出においては、メディアミックスプロジェクトならではの性質をうまく活用し、随所にアニメ的な映像表現が見受けられた。特に「ストーリー」において、ひとつの章が終わり、次の章へと移り変わる場面は必見。毎回、TVアニメの次回予告のようなリッチな演出が挿入され、先への期待感・高揚感がくすぐられた。
音楽では、クラシック音楽を題材とした世界観に沿うように、ピアノアレンジ、管弦楽アレンジの楽曲たちがBGMとして制作・起用されている。それらの織りなす世界はゲーム全体に一貫性をもたらす。冒頭で触れたグラフィックの美しさと同等、またはそれ以上に、『takt op. 運命は真紅き旋律の街を』の世界観において必須の要素となっている。
また、音楽関連でぜひ注目してほしいのが、バトルでキャラクターたちが必殺技を繰り出すシーン。各ムジカートのモチーフとなっているクラシック楽曲は、それぞれのテーマソングのように扱われており、ステータス画面のほか、この場面でも聴くことができる。普段クラシック音楽を聴く機会がない層にとっては、(現在起用されている曲の多くが超有名曲だったとしても)演出も相まってとても新鮮に響くはず。「耳馴染みのあるこの曲は、この人が作曲していて、こんな題名だったんだ」と感じる人も多いのではないだろうか。
過去のインタビューのなかで、「知っているようで知らないクラシック音楽の世界をキャラクター化して届けていくことに、新しい面白さを感じた」と制作チームが言及しているように、ゲームという娯楽性の高いコンテンツを通じて、ユーザーがまだ見ぬ世界との架け橋となっていくこと。それが実在するコンテンツをモチーフとすること、メディアミックスを通じて幅広い層にエンタメ・文化を届けることの意義・価値とも言えるだろう。
“世界を調和に導くシンフォニックRPG”『takt op. 運命は真紅き旋律の街を』は、モバイル向けRPGの金字塔となれるか。メディアミックスプロジェクトとしての今後の展開にも注目したい。
アプリダウンロードURL:https://taktop-jp-dl.onelink.me/My7n?af_xp=custom&pid=game_dl&c=realsound
■作品詳細
『takt op. 運命は真紅き旋律の街を』
配信日:2023年6月28日
配信形式:スマートフォン(iPhone、Android端末)向けアプリ
ジャンル:世界を調和に導くシンフォニックRPG
利用料金:アイテム課金制
対応OS:iOS/Android ※一部非対応の端末あり
〈スタッフ〉
原作:DeNA・広井王子
キャラクターデザイン:LAM
シリーズ構成/脚本:高羽彩
音楽考証:栗田博文(指揮者)
背景コンセプトアート:わいっしゅ
音楽:坂本英城(ノイジークローク)
キーピアニスト:まらしぃ
企画・開発:DeNA / DeNA China
製作:takt op. game partners
公式サイト:https://game.takt-op.jp/
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