ユーザーの声を迅速に反映した『ドラクエ チャンピオンズ』 ライブサービスゲーム時代の開発・運営に求められるものとは?

 スクウェア・エニックスは4月27日、「ドラゴンクエスト」シリーズの最新モバイルゲーム『ドラゴンクエスト チャンピオンズ』(以下、『ドラクエ チャンピオンズ』)のβテスト体験会に関するレポート動画をYouTube上で公開した。

 今年1月のお披露目時には、ファンたちから不満が噴出してしまった同タイトル。βテスト体験会への参加者の反応を受けて施された改善は、“逆転の一手”となるだろうか。ゲーム市場におけるトレンドから、『ドラクエ チャンピオンズ』開発・運営の対応を紐解く。

バトルロイヤル×ドラゴンクエスト。新作モバイルゲームは乱戦コマンドバトルRPGに

「ドラゴンクエスト」シリーズ新作スマートフォンタイトル発表会

 『ドラクエ チャンピオンズ』は、大勢の冒険者とモンスターが入り乱れる「勇者武闘大会」を制し、真の勇者を目指すRPGだ。プレイヤーは3人のキャラクターで構成された独自のパーティーを操作し、フィールドに登場するモンスターや、別の冒険者たちとバトルを繰り広げる。ひとりでじっくり遊べる「ストーリーモード」「各種クエスト」といった遊び方のほか、50名のプレイヤーがリアルタイムに対戦する「大会モード」も実装する。バトルロイヤルの要素をシリーズの世界観に落とし込んでいる点が、同タイトルの最大の特徴だ。

 『ドラクエ チャンピオンズ』は、2023年1月にその存在が明らかとなった。ファンたちのあいだでは、2021年7月にサービス終了となった『ドラゴンクエスト ライバルズ エース』に代わる、シリーズの新たなモバイルゲームとして話題を集めたが、概要が発表されるやいなや“これじゃない”という意見が散見される事態に。逆風のなかでのスタートを余儀なくされている実態がある。

 今回、スクウェア・エニックスが公開した動画は、2023年2月に約2万人を集めて開催されたβテスト体験会に対する、参加者の反応や、それを踏まえ施された改善の内容などを報告するもの。不評が目立つなかでの期待作の最新動向だけに、リリースを心待ちにする層、プレイするかをまだ決めかねる層などから注目が集まった。

今回の対応に見る、コミュニティに寄り添う姿勢

『ドラゴンクエスト チャンピオンズ』βテスト体験会レポート

 動画によると、βテスト体験会では、およそ6割の参加者が「ゲームの内容に満足」「リリースされたらプレイする」と回答。発表時の界隈の反応とは異なる実情が明らかとなっている。その背景には、「興味があった層ほど、積極的にテストに参加している」という、避けようのない偏りの影響もあるだろう。しかし、「実際のインプレッションは、前評判ほど悪くない」という、『ドラクエ チャンピオンズ』の出来を反映した部分もあるのかもしれない。

 

 「代表的なご意見」には、「期待せずプレイしたが、充分に楽しめた」「ドラクエの新しい世界を確立してほしい」「戦略次第で強くなれる点が面白かった」というポジティブな反応があった一方、「全体的にテンポが悪い」「ふくびきにおける星5の出現率が低い」「対戦時間が長い」「ゲームバランスが悪い(全体攻撃が強い)」といったネガティブなものも散見された。こうした意見を踏まえ、開発・運営は、問題点に対するテコ入れをおこなった旨を明かすとともに、今後も期待に沿うゲームとなるよう、引き続き開発に努めていくことを宣言している。

 今回の動画で報告された主な改善点は以下。

・各遷移にかかるロード時間の短縮化
・ギルドバトル・レイドバトル機能の実装
・引き直し可能な「星5確定ふくびき」の実装
・「星5確定ふくびき」専用チケットを初心者ミッションの報酬として配布
・大会モードにおける1試合の長さを短縮
・マッチングシステムの改善
・強化アイテムの配置や出現数などを調整
・バトルバランスの見直し
・ストーリーにおけるスキップ機能の実装
・オート移動の実装

 ざっと見るかぎり、これらの改善点は、開発・運営がβテスト体験会以前から気になっていたものというよりは、参加者のフィードバックを受けてのもののように映る。つまり、発表時、さらにはβテスト体験会におけるコミュニティの反応を受け、数々の改善が施されたというわけだ。ここには開発・運営のファンコミュニティに寄り添おうとする姿勢が見て取れる。“想定外の不評”というある種の強制力が存在していたものの、「シリーズファンの気持ちはないがしろにしない」という強い意志が宿った対応だと感じた。

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