赤字続きのインフルエンサー事務所「VAZ」を立ち直らせた代表・谷鉄也が語る“生き残るクリエイター・マネジメントの共通項”

VAZ代表が語る生き残るクリエイターの共通項

 『仮面ライダーギーツ』(テレビ朝日系)出演で話題の星乃夢奈や、ティーンから絶大な支持を集め、Popteen専属モデルとしても活躍中のさくら、筋肉系YouTuberとしてチャンネル登録者209万人を誇るぷろたんなどが所属する、インフルエンサープロダクション「株式会社VAZ」。赤字続きの状況のなか、2020年秋に共同ピーアール株式会社 代表取締役社長/株式会社新東通信 取締役の谷鉄也氏を取締役会長に迎え、さらに2022年1月からは谷氏が代表取締役社長に就任した。新体制となったVAZは、どのようにして逆境から立ち直ることができたのか。クリエイターのプロモーション戦略から今後の展望まで、またYouTubeの人気チャンネル「めるぷち」 や「MelTV」の舞台裏ついて谷氏にたっぷりと語ってもらった。

インフルエンサーとして生き残るには「人間性」が重要

――2020年秋から谷さんの元で株式会社VAZが新体制になりましたが、組織内で明確に変わった部分を教えてください。

株式会社VAZ 代表取締役社長 谷鉄也氏

谷鉄也(以下、谷):2015年の創業以来、ずっと赤字だったのが、2022年に初めて黒字になりました。ここは会社のメンバー(社員)の自信につながったのではないかと思います。黒字化できた要因としては、やはりメンバーが主体性を持って仕事に取り組んだことが大きかったです。VAZはお客様からの問い合わせ案件が多いのですが、それだけをやっていても黒字化はしませんので、営業の人数を増やすことによって収益体制を強化しました。もちろん、営業のメンバーだけでなくクリエイティブを担う部署のメンバーの成長もすさまじく、皆、非常に頑張ってくれたと感じています。

――かなり短期間で大きく変わった印象がありますが、そこのスピード感は意識しましたか。

谷:2022年1月から僕が社長になりましたが、当初、僕は1年だけVAZに注力する予定だったので、そうなると上半期が勝負になってきます。そこで結果を出さないことには次につながりませんから、スピード感は意識していました。VAZを立て直すには本気でコミットしないといけないと思い、ピンチヒッターとして社長になったかたちでした。

――ということは、どこかで後任を誰かに託すつもりがある、ということですね。

谷:もちろんです。やはり24時間365日VAZのことを考えられる人が社長をやるべきです。僕は他にも会社をやっていますので、僕がやるよりは24時間注力できる人がやった方が良いと思っています。

――なるほど。VAZのウェブサイトを拝見したところ、「プロデューサー集団」と銘打っているところも非常に魅力的だと感じました。

谷:そういう人材を輩出していきたいという思いがありました。単純に仕事のタイアップを決めるだけでなく、自分のアイディアと発想をもってお客さんの課題解決をするのがインフルエンサーマーケティングやSNSだと思っています。そういう考えの人が増えてくれればVAZの売り上げも伸びますし、皆さんから必要とされる会社になれると感じています。

――VAZが求めるクリエイター像を聞かせてください。

谷:我々には「VAZ a New Creation」というスローガンがあります。“新しい”、“クリエイティブ”な、“社会を驚かせる”ような仕掛けを一緒にやっていきたいと思っています。一緒にビジネスをやっていくわけですから、クリエイターも単純に面白いだけではなくてお互いに姿勢を合わせられればいいなと思います。将来的にどういうところに行きたいか、どういった仕事を一緒にやりたいかなど、お互いが継続的に成長していけるような関係が結べると非常に嬉しいですよね。

――インフルエンサーの出口戦略(収益化)の部分で所属のインフルエンサーにどのような道を作っていこうと考えていますか?

谷:VAZについて言うと、共同ピーアールが筆頭株主になったということで裾野が広がりました。VAZのクリエイターは、YouTubeのようなSNSが主戦場ですが、信頼性を担保するためには他のメディアも必要になってくる。SNSに信頼性がないというわけではなく、色々なメディアを抑えることが社会的な価値に繋がると思うからです。デジタルだけでなく、「VAZ Mart」(VAZのクリエイターとファンの交流イベント)のように一般の方とのリアルな接点を持つことも大事だと考えています。VAZでは、東北や愛媛の仕事など地域創生に近い仕事も増え始めています。そういった意味では相互のシナジーが生まれつつあるのではないかと思います。

――オフラインのイベントとなると、インターネット上とはまた違うスキルが問われてくるように思います。お話を聞いていると人間性みたいなものをより重視せざるを得なくなってくるのかなと感じました。

谷:やはり、インフルエンサーも生き残るためには、人間性がきちんとしていないといけないと思いますね。社会との関わりといったものは同心円状に広がっていきますので、より大きな仕事をしていこうというときには、それを踏まえた立ち位置を取っていかないといけません。

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