交通系YouTuberスーツが広告単価値上げを発表 支持を集める理由は広告効果と本音をさらけ出す人柄にあり?
3月3週目、交通系YouTuberスーツが収益が増加していることを明かし話題となったが、同時に発表した広告単価の値上げも一部で話題となっていた。スーツはなぜ広告単価の値上げに踏み切ったのか、今回はその理由とともにスーツが支持される理由を考察してみたい。
スーツは、鉄道や旅関連の動画を投稿している動画クリエイター。スーツが運営するYouTubeのメインチャンネル「スーツ 交通 / Suit Train」と「スーツ 旅行 / Suit Travel」、サブチャンネル「背広チャンネル」の総登録者数は177万人を突破(3月23日時点)。動画で取り上げたツアーなどが即完売になるなど、自他ともに認める日本一の交通系YouTuberだ。
3月9日、スーツはメインチャンネルに投稿した動画で、昨今大きな注目を集めているYouTuberの収益減少について言及するとともに、広告単価の値上げを発表した。スーツのいう広告とは、商品やサービスなどを紹介する企業案件動画のこと。スーツが自身の影響力を活かしたPR活動の一環として、定額広告プラン 「パートナー広告」の提供を開始したのは2021年11月のこと。これまでは再生単価4円としていたところ、4月以降は6円に値上げし、200万円から契約できていた定額制の大規模広告パートナー動画が300万円からになるという。
広告費の値上げについてスーツは、「宣伝がちゃんと効果があると判明したから」と説明。現在契約している企業には「ご満足いただいている」とし、契約を延長していることが明かされている。経験がない状態で案件動画を開始したことで、「安い料金でやっていた」というが、スーツ側で計測したところ、その価値は1再生あたり7円ほどであることがわかったとのこと。これまでの結果から、「6円に上がったとしても割安」とし、値上げをして増収を目指すことにしたそうだ。
広告費を100万円上げることで依頼が減ることも考えられるが、この点についてスーツは「それ(減った分)だけ仕事をしなくていいわけじゃないですか」とサラッと本音を吐露。依頼が減った分の時間は自身の動画再生数を伸ばすことや、YouTuberとしての価値を上げることに使うと述べており、広告単価の値上げは「したほうがいいと思っている」と、ぶっちゃけている。
そもそもスーツは案件動画について、自身が立ち上げた企業の公式ホームページで「社会貢献」と打ち出している。案件を「社会貢献」として位置づけるYouTuberはそういないが、スーツは「活動を通して社会に貢献したい気持ちもある」という一文を掲載している。事実、スーツのメインチャンネルで投稿されているPR動画のひとつである『100年前に造られた首都防衛施設「第二海堡」に特別上陸! 6/27-101』は、投稿から13日で860,000回再生を記録し、約2年8か月経った現在では225万回以上も再生されている。この再生回数だけでみても、スーツの案件動画がある程度の効果をもっていることが推測できる。
特筆すべきは、スーツが依頼がきたものをなんでもかんでも動画で宣伝しているわけではないことだ。9日に公開された動画のコメント欄でスーツは、案件の選定について言及。「視聴者の利益になるかは、十分な注意をもって確認しているつもり」と記載し、視聴者が楽しめるかどうかしっかりと精査していると説明している。
広告を値上げし、自社の増収を目指すというスーツだが、今回の発表には肯定的な意見が多い。スーツが広告主から支持される理由は、自身の影響力を使って社会貢献をしたいという考えと豊富な知識からなる確かな広告効果だと考えられる。そこに本音をサラッと明かしてしまう人柄と視聴者の目線で案件を選択する姿勢が加わった結果、スーツとスーツの動画広告は視聴者からも支持を得ているのではないだろうか。