『第4回 JAPAN PODCAST AWARDS』授賞式レポート 大賞はまさかの2作品同時受賞

『第4回 JAPAN PODCAST AWARDS』授賞式

 3月18日、『第4回 JAPAN PODCAST AWARDS』の授賞式が行われた。『JAPAN PODCAST AWARDS』は、2019年にはじまった優良なPodcastコンテンツを発掘し応援する日本初の大規模アワードであり、「今、絶対に聴くべきPodcast」「もっと世の中に知られるべきPodcast」を選出することを目的としたもの。『ゴッドタン』(テレビ東京)などのプロデューサーである佐久間宣行やNHK大河ドラマ『青天を衝け』にも出演した女優の美村里江など、10名の選考員が参加していることでも知られている。

 今回は「大賞」「ベスト パーソナリティ賞」「ベスト エンタメ賞」「ベスト コメディ賞」「ベスト ナレッジ賞」「ベスト ウェルビーイング賞」といった賞が存在したが、新たに「ベスト メディアクリエイティブ賞」が加わり、計7部門の受賞者が発表された。

 まず発表されたのは「ベスト メディアクリエイティブ賞」。本部門はメディアが制作したコンテンツの中で最も優れた作品に贈呈される賞である。記念すべき初回はNHKエンタープライズ制作の『聴くドキュメント72時間』が受賞した。コラムニストの吉田潮がゲストを招いてNHKの人気番組『ドキュメント72時間』を語り尽くすPodcastは3月1日に最終回を迎えたものの、今回の受賞式で「(継続を)検討します!」との声もあり、シーズン2が期待される。

『聴くドキュメント72時間』

 続く「ベスト ウェルビーイング賞」は3人の子の母親が発信する『ママが自分を取り戻すラジオ』に決定。子育てから夫婦関係まで、ママならではの話題に寄り添った番組が賞を手にする。また「ベスト ナレッジ賞」には「経営中毒〜だれにも言えない社長の孤独~」が選ばれる。今回「ベスト ナレッジ賞」にノミネートされた5作中3作を音声プロデューサーの野村高文が手がけたことから、野村作品が受賞となるのかにも注目が集まった。そんな中で、野村がサブMCを務める『経営中毒〜だれにも言えない社長の孤独~』が見事受賞となる。

『経営中毒〜だれにも言えない社長の孤独~』

 芸人の話芸が光る番組が数多くノミネートされた「ベスト コメディ賞」では『真夜中のテレフォン』が栄冠を手にした。タイトルの通り「芸人が ”今、電話で話したい人” に電話して、自由にお喋りする」というコンセプトで、蛙亭イワクラやとろサーモン久保田などの人気芸人が電話で話す様子が配信される。

『真夜中のテレフォン』

 「ベスト エンタメ賞」は『モノガタリ by mercari』、「ベスト パーソナリティ賞」は『仲野太賀のPodcast』と、それぞれAudible限定コンテンツが受賞となった。『モノガタリ by mercari』の受賞スピーチでは、著者の岩井俊二や西川美和がビデオコメントを寄せ会場を盛り上げた。岩井は「今回、声優さんたちとご一緒したのですが、そこは想像以上でした。やはり声だけて表現される人たちの言霊の力は本当に素晴らしいなと。プロの人たちに読んで頂いて、それを聞けるというのは豊かなものなのだなと思いました」と話しており、言葉を“聴く”ことの豊かさについて話した。また、「ベスト パーソナリティ賞」を受賞した『仲野太賀のPodcast』でパーソナリティを務める仲野太賀は、残念ながら会場には来られなかったが「実はこの賞を受賞できなかった場合、Podcastの冠名を変更することを番組内で約束していたのです。変更後は『仲野太賀のナイスガイ』というタイトルでした。なにがなんでも避けたかった。受賞できて本当によかった」と茶目っけたっぷりのコメントを会場に寄せた。

 「大賞」発表の前には、リスナーからの投票により決定する「リスナーズ・チョイス」の上位10作品と、栄えある1位の発表が行われた。「リスナーズ・チョイス」で1位を獲得したのは『シノブとナルミの毒舌アメリカンライフ』。アメリカ生活が長い2人が切れ味たっぷりに語るPodcastがリスナーからの支持を最も多く獲得した。

『シノブとナルミの毒舌アメリカンライフ』

 いよいよ「大賞」の発表へと移る。栄えある「大賞」を獲得したのは、『Matthew's Matthewマシュー南の部屋の中のマシュー』と『佐藤と若林の3600』。まさかの2作品同時受賞となった。『Matthew's Matthewマシュー南の部屋の中のマシュー』は、深夜のバラエティ音楽番組「Matthew’s Best Hit TV」(テレビ朝日系)でMCを務めたマシュー南の復活に加え、無期限活動休止中の松浦亜弥がゲスト出演したことで一躍話題となった。こうした番組作りのユニークさを讃えられ「大賞」の受賞となる。もう一方の『佐藤と若林の3600』は、どきどきキャンプ・佐藤満春とオードリー・若林正恭が2006年~2008年ごろに配信していたPodcastのリバイバル作品で、2人の飾らないトークが人気を博している。まだリスナーが数名しかいなかったころの『佐藤と若林の3600』から進化して、ついに「大賞」の受賞となった。

 最後は選考員の秀島史香、古田大輔、石井玄らの総評を経て、『第4回 JAPAN PODCAST AWARDS』は閉幕した。

左から秀島史香、古田大輔、石井玄

 今をときめく名Podcasterが一堂に会した『第4回 JAPAN PODCAST AWARDS』。今年も聴き逃せない番組が多数配信されており、注目のコンテンツ市場となることは間違いないだろう。3月26日にはニッポン放送で本アワードの開催を記念した特別番組の放送も決定。授賞式で司会を務めた荘口彰久がパーソナリティとなり、『第4回 JAPAN PODCAST AWARDS』を振り返る。こちらも合わせて楽しむことで、「今、絶対に聴くべきPodcast」を発掘したい。

『第4回 JAPAN PODCAST AWARDS』

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる