KDDIが新たなメタバース・Web3サービス「αU」発表　オープンメタバースの時代を創ることができるか？

　3月7日、KDDIがメタバース・Web3サービスの「αU」を始動することを発表した。

　2020年5月に都市連動型メタバース「バーチャル渋谷」、2022年10月にはリアルとバーチャル空間が連動する「デジタルツイン渋谷」など、これまで5G通信やAR、MR技術を活用した都市体験の拡張に取り組んできたKDDI。今回の「αU」は、これまでの「体験する場所」から「発信する場所」へと発展させるようなサービスとなっている。

　「αU」始動のタイミングとなる今回は、「αU metaverse」「αU place」「αU market」「αU wallet」「αU live」の5つのサービスを発表。

　その中心となる「αU metaverse」は、バーチャル空間に再現された渋谷や大阪の街を舞台に、アーティストによる音楽ライブや利用者同士での会話を楽しめるメタバースサービスになっているという。現在主流のテキスト中心のSNSとは異なり、リアルタイムの音声コミュニケーションに力を入れているそうで、アバターの存在もあってこれまでよりも自然な会話を楽しむことができるようになっている。さらに、自分の居場所としてメタバース内にマイルームが存在するため、イベント時だけでなく日常的にメタバースが楽しめるようになっている。

　ライブ体験サービスの「αU live」では、360度、自由な距離と角度で高精度な映像を視聴することができる。リアルに活動しているアーティスト、バーチャルで活動しているアーティスト問わず、様々なアーティストのライブを楽しめることができるそうだ。

　また「αU market」では、NFTアートを購入、出品することができ、「αU wallet」ではNFTアートなどを購入するのに必要な暗号資産を獲得することができる。多様な決済方法によって簡単にNFTを購入することができたり、バックアップも可能とのことで、初めてでも簡単にNFTに入門できる仕組みが整っている。

　「αU place」では、写実的な店舗をバーチャルに再現することで、リアルな買い物を体験することができる。店舗スタッフからビデオ通話で商品説明を受けることもでき、従来のネットショッピングよりも現地での買い物に近いショッピングを体験することが可能だ。

　パートナーとのトークセッションでは、KDDI株式会社事業創造本部 副本部長 中馬和彦氏が登壇。中馬氏により「強力なプロデューサー」との紹介でカヤックアキバスタジオ CXOの天野清之氏が登壇すると、「αU」の今後に向けて「リアルタイムレンダリングやブロックチェーン、UGCに力を入れることで、アニメやゲームが活発な日本ならではのエンタテインメントがより盛り上がるのではないか」と期待を口にした。

　続いて中馬氏は「メタバースはひとつのメタバース世界で完結するクローズドな形ではなく、いくつかのメタバースが相互に繋がるオープンメタバースの時代になっていくのではないか」と話したうえで、メタバースプラットフォームを運営するクラスター株式会社の加藤直人氏を紹介。加藤氏は「メタバースは一社でなんとかなるものでもないし、一社で作るものでもないと考えています。いろんな会社とコラボしていきながら、日本の一大産業を作っていければ」と意気込みを語った。

　また、本発表会ではコラボレーションアーティストも発表され、ガールズ・アーティストとクリエイターによるコレクティブであるbalaとBE:FIRSTが登場。balaのKANOは「メンバーそれぞれがSNSを通して知り合ったという背景もあるので、誰でも自由に参加できるワールドで活動させていただくことでまた新たな出会いがあるのではとわくわくしています。今後もたくさんの人を巻き込みながら活動していきたいです」と意気込み、BE:FIRSTのSOTAは「メタバースでのパフォーマンスは新しいと思いますし、現実ではできない見せ方や世界観の作り方が叶うと思うので、作品作りに大きな影響を与えるんじゃないかと思っています」と作品への影響についても期待を口にした。

　今回は5つのサービスが発表された「αU」だが、今後も内容は拡大していく予定だという。買い物やコミュニケーションなどの日常生活やアーティストの作品やライブにも関わっていく「αU」がどのような発展を遂げるのか、今後も楽しみだ。