M-1決勝芸人と面白い素人が競い合う大喜利チャンネル『大喜る人たち』 仕掛け人が語る「大喜利だけで食べられる世界に」という願い

大喜利チャンネル・大喜る人たちの企画者が語る願い

即興だからこそ起こる「爆発力」にワクワクする

ーー大喜る人たちの編集は小川さんおひとりでやってらっしゃるんですよね。

小川:編集に関しては基本1人ですね。よくないんですけど、他の人に任せるとどうしても気になってしまって。全部ひとりでやりたくなっちゃうんですよね。

ーーどういう部分が気になるんですか?

小川:どこで次のカットに行くか、MCのコメントのどこを使うか、などです。1秒を30分割した単位を1フレームって呼ぶんですけど、その1フレームが違うだけでもちょっと印象が変わったりもするので、けっこう細かい作業です。

ーーそういった「間」や場面をピックアップする感覚はどこで養ったのか気になります。

小川:テンポ感や感覚みたいなものは芸人さんのYouTube動画をたくさんつくっていたので、その時の経験だと思います。

ーー映像編集の中で養われたものなんですね。そういえば、小川さんはご自身で大喜利はされていないとお聞きしたのですが、それはなぜでしょうか?

小川:単純に勇気が出ないからです(笑)。即興で考えたり、人前で話したりするのが苦手なので向いてないなとも思います。やりたい気持ちはあるんですけどね。

ーー現在は企画者として大喜利に携わっていらっしゃいますが、企画者から見た大喜利の魅力はなんでしょうか。

小川:即興だからこその爆発力ですね。大喜る人たちではお題を事前に知らせないので、出演者が本当にその場で考えて答えます。そうすると、アタリ・ハズレが生まれてしまうかもしれないリスクがある一方で、大ハネするかもしれないという期待感やワクワク感がずっとある。生配信中にお題を募集して回答してもらうこともあります。

ーーお題も即興、回答も即興、ということですね。

小川:以前、配信中にお客さんから形容詞と名詞をそれぞれ出していただいて「干からびた、ひろゆき。どんなの?」というお題ができあがった時、出演していた寺田寛明さんがすぐに「それって乾燥ですよね」と答えて会場が湧くということがありました。それが実際にひろゆきさんに届いて、「大喜利で「正解」が出ることがあるんですね。。。」とTwitterで反応をいただきました。こういう「何が起きるかわからないドキドキ」がいいですね。あとは、回答していくごとにどんどん面白い流れになったり、人それぞれ刺さる回答が違ったり、そういう部分が大喜利の魅力です。

【大喜利】干からびた、ひろゆき。どんなの?【大喜る人たち257問目】

ーーほかに大事にされていることはありますか?

小川:僕はライブが好きなので、ライブの面白さを動画でも感じてもらいたいです。大学生ぐらいの時にお笑いやバラエティ番組が好きで作りたいなと思っていたんですけど、お笑いのライブDVDを見始めてから「ライブってこんなに面白いんだ」って気づきました。

 それで、テレビはテレビを作ろうとしすぎなんじゃないか?まずライブ的な盛り上がりを作ってから、それをどう届けるかを考えるのがいいんじゃないか?って大学生ながらに感じていて。

 収録にお客さんを入れるのもそうだし、細かいところだと、MCが板付きじゃなくて登場するところから放送するほうがライブ感が伝わる、とか。そういう部分を大事にしていきたいと思っていて、気づいたら、大喜る人たちがその理想形に近づいていました。

大喜利ブームの兆しはTikTokから

ーー大喜る人たちには、真空ジェシカさん、サツマカワRPGさん、ママタルトさんをはじめ、多くの若手芸人さんが出演されていますよね。なにか反響はありましたか?

小川:そうですね。芸人さんたちが他のお仕事の現場で「大喜る人たちに出てましたよね」と声をかけられることがあると聞いていて、嬉しいです。

ーーブームの兆しのようなものはいつ頃感じたのでしょうか?

小川:何度かグンと伸びた時期があって、最初はTikTokでママタルト檜原さんの回答がバズって70万回くらい再生されたことで初速がつきました。「大喜利ってTikTokでバズるんだ」っていうのは大喜利界隈の周りの人も予想していなかったことで驚きました。

 その後はライブにAマッソさんが出てくれた時や、寺田寛明さんの回答がtwitterでバズった時、真空ジェシカさんが『M-1グランプリ』の決勝に行った時などに再生回数が増えましたね。

大喜利だけで食べていける人がいる世界に

ーー大喜る人たちでは、ぺるともさんや冬の鬼さんのように、芸人さん以外の大喜利プレイヤーも注目されていますよね!

小川:そうですね。将来的にですけど、大喜利だけで食べていける人がいる世界になるといいな、と思います。変な言い方ですけど、会社員なのがもったいないと思ってしまうくらい。

 お笑いライブって最初はなんでも“内輪”だと思うんですけど、その内輪がどんどん大きくなって、お客さんが増えてライブの規模も大きくなって……そうしたら大喜利のプロが生まれるかもしれないですよね。

ーー今後どういうチャンネルにしたいという展望があればお聞かせいただきたいです。

小川:いま考えているのは、大阪やほかの地方でもライブやロケ企画をやりたいということですかね。ライブの目標だと、大喜利ライブで『AUN』というライブがあるんですが、そのくらい大きな規模でトーナメント形式のライブができたらな、と思っています。

 あとは、いつかテレビ番組の『IPPONグランプリ』に大喜る人たちの出演者が出てくれたら嬉しいです。たとえば、アマチュアのプレイヤーが「大喜利の人」として『IPPONグランプリ』に出てたりしたらとんでもないじゃないですか。そういう未来が来るといいなと想像してしまいますね。

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