ぼっちぼろまる・ピーナッツくん・星街すいせいの例から考える VTuber楽曲の“垣根を越えたヒット”が意味するもの
ピーナッツくんと同じくらいの特大インパクトを炸裂させた人物といえば、もう1人名前が挙がるだろう。ホロライブに所属するバーチャルアイドル・星街すいせいだ。
1月20日、星街すいせいは、VTuberとして初めてYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」に出演し、1stアルバム『Still Still Stellar』のリード曲「Stellar Stellar」を披露した。
動画の公開当日は、プレミア公開の何時間も前から数千~数万人の視聴者が待機しており、非常に多くのコメントが投稿されていた。22時にプレミア公開が始まると、同時視聴数は16万人を記録した。この同時視聴者数はチャンネル歴代トップと報じられた。
星街すいせい、「THE FIRST TAKE」史上トップの同時視聴数16万人を記録 公開3日で500万回再生の快挙も
星街すいせいが、1月20日にYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」に初登場。1stアルバム『Still Sti…
公開から3日後には再生回数500万回を突破し、その後YouTubeの音楽カテゴリーにおける「人気急上昇」ランキングで上位をキープしつづけており、公開後11日が経過した2023年1月31日現在、「Stellar Stellar」は約740万回の再生数を誇っている。
この数字は「THE FIRST TAKE」が過去半年以内(2022年7月~12月)に投稿してきたどのパフォーマンス動画と比較しても、群を抜いた再生回数である。
また、動画のコメント欄をみてみれば、日本語だけでなく英語やスペイン語で綴られたコメントが目につくだろう。「ホロライブの海外ファンが多い」というのは事実であるが、筆者が驚いたのは動画公開後の数日にわたって、海外の音楽ファンによるリアクション動画がいくつも投稿されたことにある。
YouTubeの検索欄にて「hoshimachi suisei reaction」と検索してみれば、「親日である・ない」「VTuberを知っている・知らない」に関わらず、非常に多くの人々がリアクション動画を投稿していることがわかる。
こうした現象については、海外のホロライブファンが視聴していたことでVTuberを知らない海外視聴者のページにもアナリティクスの関係で出てくるようになった、YouTubeで音楽カテゴリーの「人気急上昇」ランキングで上位をキープしていた、多くのYouTuberが「VTuber」というルックスなどから来る物珍しさで視聴したなど、さまざまな推測ができる。
いずれにせよ、この爆発的な再生数の主因として、海外リスナーを含めた「VTuberを知らない人たち」から大きな注目を集めたという部分は見過ごすことができない。
ここ5年ほどのVTuber・バーチャルタレントの興隆をうけ、「アニメキャラクタールックな配信者・シンガー」を志望する人々が非常に増えている。その判断・道筋とは、自分自身のルックスを隠しつつも、アニメキャラクタールックな表現や3D・VR表現の可能性に賭け、なおかつ「自身の”タレント”をより十全に披露しよう」というものである。
「THE FIRST TAKE」史上初となるVTuberのパフォーマンスに際して、「ヘタなパフォーマンスをしたら、VTuber全体の評価を下げてしまうかもしれない!」と、シーンの浮き沈みすらも抱えたようなプレッシャーを星街は感じていたという。
だが蓋を開けてみればご覧の通り、圧倒的な歌声・ボーカルパフォーマンスを見せつけ、懐疑的な視線や物珍しさで集まったリスナーを自分自身の、いや「VTuberのフォロワー」へと変えてしまったといえよう。