「アプリの累計ダウンロード数で世界をリード」「タレント参入はチャンス」 マネジメント事務所の代表が語る”TikTokビジネスの現在”

マネジメント事務所の代表が語る”TikTokビジネスの現在”

TikTokはアプリの累計ダウンロード数では世界一の動画プラットフォームに

――すごく夢のある言葉が聞けて嬉しいです。若井さんから見て現在のTikTokはどんなフェーズにあると考えていますか?

若井:サービス全体としてのアクティブユーザー数やプラットフォーム上の広告収入ではYouTubeがまだまだ業界をリードしていますが、グローバルにおけるアプリダウンロード数ではTikTokがYouTubeを超えるなど非常に健闘していると思います。日本においても、いよいよYouTubeやInstagramと並ぶ存在になっていくタイミングではないでしょうか。YouTubeの登場以来、YouTubeのような動画プラットフォームとしてのポジショニングを確立するメディアが他に現れることは難しいものであると私自身は思ってきましたが、TikTokの登場と躍進によって、まだまだ成長性・可能性のある面白い市場なのだと痛感しました。

――ちなみにTikTokは今後どのような戦略でより人気なプラットフォームを目指していくと思いますか?

若井: TikTokはレコメンド機能がかなり優れていて、エンジニアの数も多い。さらに上場前の段階で非常に強い組織力や資金力を持っています。この先、アメリカとの関係などで地政学的リスクがどうなるかはわからないのですが、仮に上場するとなればGAFAと並ぶような時価総額になることは容易に想像できます。上場企業としての調達力も駆使しながらレコメンドを軸にユーザビリティを改善していくと思います。

 一方、現在台頭している他のプラットフォーム、例えばYouTubeはどの動画を見るか、何というワードで検索するかを視聴者に選択させており、検索エンジンとして立ち上がったGoogleならではの強みを活かしていると思います。レコメンド機能発と検索発という差によって、単純に使われ方が異なっていき、補完関係のあるプラットフォームとしてユーザーから整理されていく可能性も非常に高いと考えています。現在のTikTokのレコメンド機能では動画の掲載順位とかスワイプしたときに何の動画が出るかをユーザーごとにお勧めしていますよね。でも本当はもっと個人に合わせてAIがレコメンドできる余地があるのではと私は考えています。ここはユーザー体験としてはめちゃめちゃ革新的なものにもなりうるので、レコメンド機能の今後については非常に期待しているところでもあります。当然、TikTokだけでなくYouTubeのレコメンドも負けず劣らず優れていますし、更に強化していくと予想されます。それぞれどのように差をつけていくのかユーザーとしてとても楽しみにしています。

――大変興味深いお話が聞けました。最後に2023年以降のTikTokシーンでクリエイターに求めることがあれば聞かせてください。

若井:当事務所のところにはショート動画のクリエイターが多いので、TikTokなどのショートムービープラットフォームがより浸透していくことが我々にとっての追い風にもなると考えています。そのため、まずは各社がレコメンド機能をブラッシュアップして、より良い消費者体験を届けてくれたらと思います。クリエイターに関しては、おこがましい立場ではありますが、ぜひ引き続きチャレンジしていただいて、我々も一緒にマーケットを盛り上げられるようにサポートを頑張れればと考えています。

――ありがとうございます。あわせて、今後のTORIHADAの展望も聞かせてください。

若井:TORIHADAグループとしてはクリエイターの全てのライフタイムに寄り添いたいと思っています。全てのフェーズのクリエイターの全ての課題やマネタイズ手法を我々のサービスで拡充していきたいですね。現在インフルエンサーの方には収入が安定しないという理由でローンが組めないことや、家が借りられない、クレジットカードの上限が上がらないなど、いろいろな課題があるんです。それは既存の金融システムではインフルエンサーの価値を評価しきれていないということだと思っています。ですから、広告のデータ、コンテンツのデータ、ファンのデータ、また定性的な性格といったところまでを統合管理し、極力リスクが低い形で我々がファイナンスの部分を担えたらという考えもあります。お金を貸したり、投資したりできればクリエイターとしての選択肢もかなり広がると思うのです。

 我々は「意思ある個人による新しい経済を作る」ということを会社の目的に掲げております。クリエイターがより活動しやすくなり、いろんな価値観やコンテンツが世の中に増えることで、感動体験を広めていきたいです。

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