青春のゲームハードはスーパーカセットビジョンか、ファミコンか? MCU × ゲーム芸人フジタ対談

 さまざまな懐かしのハードが“ミニ”になって復刻したり、海外では中古ソフトの価格が高騰したりと、近年いろんな意味で改めて注目が集まっているレトロゲーム。そんなレトロゲームについて、音楽業界随一のゲーマー&レトロゲームコレクターとして名高い、KICK THE CAN CREWのMCUがひたすら語り尽くす連載「MCUの『ゲーム横丁8丁目』」。

 連載第7回は、特別企画「ゲーム芸人フジタ氏との対談」。レトロゲーマーとして有名なMCUがリスペクトしているレトロゲーム界の名プレイヤーかつコレクターであるフジタ氏との出会いや、プライベートでも親交のある彼らのレトロゲームに対する熱い思いを聞いた。(編集部)

レトロゲーマー同士の邂逅

──最初に、お二人が出会ったきっかけをうかがえますか。

MCU:フジタ氏が出演していた『ゲームレコードGP(グランプリ)』と、『伝説のクソゲー大決戦』といういろいろな芸人さんがゲームで競うCS番組で見てて、フジタ氏を知って見ていくうちにファンになってしまいました。フジタ氏はTwitterをやっていたので、僕が軽くアピールしてみたら、返事をしてくれたんです。彼は僕のことはまったく知らなかったらしいけど。

フジタ:そう言いましたっけ?(笑)。KICK THE CAN CREWはもちろん知っていましたし、聞いていましたよ。

MCU:それが始まりで、Twitterでやり取りをしてから一週間もたたないうちに会うことになって、フジタさんの家に行ってゲームを夜中までやっていました。

──その時に遊んだゲームは覚えていますか?

フジタ:『シャドウゲイト』じゃないですか。

MCU:『シャドウゲイト』をやったのは、のちのことですね。初顔合わせなので、ゲームをやるというよりは、ゲームの話をしていたような気がするな。

フジタ:どこかのタイミングで『ゲイングランド』を後半までやった記憶があるんですよ。

MCU:『ゲイングランド』もやったけど、それは1回目じゃないですね。

フジタ:最初は、雄志(MCU)さんグラサンかけていて、いかつかったんですよね。

MCU:いかつかったですか(笑)。ただ、フジタTシャツを着ていったのは覚えていますね。

フジタ:あれは、もう何年前ですかね。

MCU:もう本当に十数年前ですよ。フジタ氏の話になるとよく言うんですけど、家に行くと、縦並びでゲームをやるんですよ。普通はテレビの前に二人で横並びに座るじゃないですか。それが、モノが多すぎて横並びに座れなくて、縦に並んで座ってゲームをするんです。

フジタ:そうですね(笑)。

MCU:トイレの前にもゲームがたくさん入った段ボールが積まれているから、それをまず『倉庫番』のように動かしてから、トイレに入るんですよ。

フジタ:まず玄関に入るのに、玄関の段ボールをトイレの前に置くわけですよ。それをトイレに入る時は、玄関に移動させるんです。トイレに入ったあとにタバコを吸いたいときは、外に行くためにもう1回トイレの前に移すんです。

MCU:本当にね、大変なんです(笑)。

──MCUさんから見たフジタさんの印象はいかがでしたか。

MCU:テレビ番組で見たまんまだったかな。

フジタ:映像で見た通りだったってことですか?

MCU:そうですね、より真面目な方という印象です。

──フジタさんのお宅にあるたくさんのゲームを見たときは?

MCU:もうびっくりしましたし、片付けたいと思いました。とにかく片付けたい。床にもゲームが散らかっているし……。

フジタ:たしかに床に散らかっていますけど、雄志さんのうちも床にゲームは置いてありますよね(笑)。

MCU:うちの床に置いてあるのと、フジタ氏のうちに置いてあるのとは全然違うんですよ(笑)。

フジタ:うちはザーッとおいてあるけど、雄志さんのうちは確かに整理されてますね。

MCU:そうなんです。だから、そこがちょっと違うんですよ。

フジタ:一緒にしてほしくないってことですね。

MCU:うん、それはそうでしょうね(笑)。だけど、あれは本当に片付けたいですよね。いまだにその思いは変わらないですね。風呂場にもゲームがあったし、浴槽にもあるんだから。

フジタ:ゲームのために部屋を4カ所借りているんですけど、基本的に浴槽は全部つぶれていますね。ゲームの置いていない側でシャワーを浴びています。

──「このゲームで遊びたいな」と思ったときに、探すのが結構大変じゃないですか?

フジタ:すぐに取り出せる場合もありますし、ダメな場合もあります。たとえばカラーボックスが4層に並んでいる場所があるんですが、その奥にあるゲームは、わかっていても取れないじゃないですか。そのときは、Amazonで買い直すんです。

MCU:その気持ちは僕も最近わかるようになってきて、一時期は自分も買い直していましたね。

フジタ:これはコレクターあるあるですよね。全部片付けながら取っていたら、半日とかかかっちゃうから。

MCU:ありますね。ゲームをやる用と、保管しておく用と、人にあげる用とね。

フジタ:こういう仕事をしていると、あげたり交換したりということもありますしね。いくらあっても困らない。

MCU:だからそれに関しては文句もないし、いいなぁと思いますね。まぁ『燃えろ!!プロ野球』を1300本も持っている自分からは文句は言えないな。

フジタ:たくさん持ってみて、僕の気持ちはわかったってことですね。

──フジタさんがMCUさんの部屋を見たときにはどう思いましたか?

フジタ:自分の家もああいうふうに整理されていたほうがいいなとは思いますね。モノはいっぱいあるんですけど、いろいろ駆使して収納されているというか、片付いているのでいいですね。あと、手袋をしないで貴重なゲームを触るのは僕とも通ずるところがありました。それも印象的でしたね。

──お互いに「この人、レトロゲームがすごく好きなんだな」と驚いたエピソードはありますか?

MCU:フジタ氏はコレクションもいっぱいあるし、いろんな機種を持っているじゃないですか。そういう人は最近は結構いると思うんですけど、彼はちゃんとプレイもして、さらにそのプレイが超絶うまい。今の時代はインターネットもあるし、結構ディグる(編注:中古販売店などをめぐり、お宝を発掘すること)ところもあるし、年々モノが少なくなってきてはいるなかでコンプリートを目指して活動をすることはすごいけど、気合とお金があれば不可能ではない。だけど、ゲームのプレイがうまいというのはずーっとやり続けないとできないことなので、リスペクトしています。

フジタ:ありがとうございます。僕は雄志さんに対して、どんな仕事よりもゲームの仕事を優先しているようなイメージがありますね。ゲーム関連のいろんなイベントにも顔を出していて、ゲームの好きさ加減を感じます。

──フジタさんのプレイに感心されたタイトルはなんですか?

MCU:『アトランチスの謎』ですね。ラスト面の鬼よけがすごくて、見た目でもわかるすごさでした。あと『スーパーマリオブラザーズ2』、と『悪魔城ドラキュラ』、『ロックマン』もすごかったですね。

フジタ:どれもこれもすごいですもんね(笑)。

MCU:そういうやつなんですよ(笑)。でも、ベーシックなゲーム力量が半端ないので、ほぼなんでもうまいですよ。フジタ氏に関する本にも載っているように幼少からずっとゲームをやっていて、テレビゲームに人生救われたというのは過言ではないでしょう。

フジタ:そうですね。家に親がいなくて、小さいころからひとりでゲームに触れていて、ゲームだけがあった家だったので。経験値が集まったというか、そういう環境でした。

MCU:日々の鍛錬がずっと続いていて、現在に至るという。そしていまも本当にうまいので、すごいですね。

──2022年にはどんなゲームをプレイしましたか?

フジタ:僕が一番やったのは『スーパーマリオブラザーズ2』ですね。ワールドのAからD面(編注:8-4を8回クリアすることでプレイできる隠しワールド)をやっていましたね。

MCU:僕はファミコンで印象に残っているのなら、『キャッスルクエスト』ですかね。名作中の名作なんで、友だちが家に来たときは対戦していました。

フジタ:僕とも一回やりましたよね。

MCU:そのときは、『魔界村』でも遊んだのかな。なんかやろうと思っても、積んじゃっているソフトはいっぱいあるかもしれないですね。

フジタ:僕もロールプレイングゲームやシミュレーションゲームは、積んじゃっていますね。どうしても時間がかかっちゃうので。

──これから手に入れて遊んでみたいゲームはありますか?

フジタ:『キン肉マン マッスルタッグマッチ』の非売品のゴールドカートリッジ版とか、非売品のゲームは遊んでみたいですね。

MCU:僕はやりたいと思って一昨日買ったんですけど、『スターフォース』ですね。

フジタ:MSXのですか?

MCU:セガのSG-1000版ですね。元々アーケードのゲームなんですが、SG-1000版のほうがファミコン版よりアーケードに近いんですよね。セガの名作はきちんと集めて研究したいなと思っています。あと昔のPCゲームも結構やりたいんですけど、PCを置く場所がないんですよね。『デゼニランド』とか、最近やりたくなってます。

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