トライエースとの距離がわけた明暗 『スターオーシャン6』はシリーズの復権を果たせるか
冒頭で述べたとおり「スターオーシャン」シリーズは、トライエースによって開発されている。同社は、『スターオーシャン1』と同時代の傑作RPG『テイルズ オブ ファンタジア』の開発に携わった「ウルフチーム」を前身とするディベロッパーだ。1990年代から2000年代にかけて、「ヴァルキリープロファイル」シリーズや『ラジアータストーリーズ』といった人気作を世に送り出した。私が続編を心待ちにするRPG『End of Eternity』も、トライエースが手掛けた作品のひとつである。
『スターオーシャン6』がシリーズの伝統を受け継ぎ、トライエースの開発タイトルとして世に出たのに対し、2022年9月に発売となった「ヴァルキリープロファイル」シリーズ最新作『ヴァルキリーエリュシオン』は、Team NINJAの流れをくむディベロッパー・ソレイユとタッグを組み、同社と離別。新たな道を歩んでいる。その背景にどのような事情があったのか、一介のライター/プレイヤーである私には憶測しかできない。しかし、両シリーズがともにトライエースの代名詞と言っても過言ではない作品である点、往年のナンバリングがゲーム史に残る名作RPGに数えられている点、発売時期が近かった点などから、とても印象的な出来事であったことは確かだ。
トライエースの携わってきた作品には、バトルの奥深さ・面白さに定評のあるものが多く、一貫してそうした点が評価されてきた。近年でこそ、いくつかの作品の不評などから求心力を低下させているが、それでもまだ真骨頂であるバトルシステムでは、その実力を遺憾なく発揮している作品も多いのが実情だ。
皮肉にも、伝統を受け継いだ『スターオーシャン6』が名誉を挽回できるだけの一定の結果を見せつつあり、先んじてリリースとなった『ヴァルキリーエリュシオン』が名作シリーズのナンバリングとしてやや物足りないとの烙印を押されつつある。戦前は「どちらも芳しい作品とはなり得ない」との予測が大勢だった両タイトルの明暗が、(表面的・結果的には)トライエースとの距離によってわかたれたのだから、とても興味深い動向だったと言わざるを得ない。
両タイトルともに発売されたばかりであるため、ずいぶんと気が早いが、気になるのは次作以降についてだ。「スターオーシャン」シリーズ第7作の開発はあるのか。あるとすれば、再びトライエースと手を組むのか。『スターオーシャン6』で取り戻した信頼は次作につながっていくのか。「ヴァルキリープロファイル」シリーズは、完全にトライエースの手を離れてしまうのか。シリーズファン、RPGファンであれば、同社と両シリーズを巡る今後の展開に関心は尽きないだろう。そこには『スターオーシャン6』『ヴァルキリーエリュシオン』に対する作品的、さらには商業的評価も密接にかかわる。前者が初週4.4万本、後者が初週4万本では、シリーズの歴史からするとやや不充分な結果であるのは間違いない。
「スターオーシャン」と「ヴァルキリープロファイル」という2つの名作RPGシリーズは、後世に歴史をつないでいけるか。ナンバリング最新作に集まる評価から目が離せない。
2022年はゲームの大作ラッシュがヤバすぎる ゲーム機を揃えておかないと「嬉しい悲鳴」が「単なる悲鳴」になるかも
2022年はおもしろいゲームがたくさん発売されてヤバい状況になる。もちろん「遊びたい作品が山ほど出てきて嬉しい悲鳴をあげる」とい…