中国で“浮遊するセダン”の実験が行われる? 強力な磁石を使った自動車の可能性とは

 空飛ぶ車でいっぱいの未来を想像したことがあるなら、その夢は少し現実に近づいているかもしれない。

 中国国営通信社の新華社によると、四川省成都にある西南交通大学の中国人研究者は先週、磁石を使って導体レールの上35ミリメートルを浮かぶ車の路上テストを行った。研究者らは、セダンの床に強力な磁石を取り付け、全長5マイル(約8キロメートル)近い導体レールの上を浮上させることができるようにした。全部で8台がテストされ、うち1回のテストでは時速約143マイル(約23キロメートル)に達したという。中国のジャーナリストがTwitterに投稿した動画では、車両が線路に沿って、揺れながらも浮遊している様子が映し出されている。

 新華社によると、このテストは政府の交通当局が高速運転の安全対策を研究するために実施したものだという。車両を開発した大学教授の一人であるDeng Zigang氏は、国営通信社に対し、乗用車に磁気浮上を利用すれば、エネルギー使用量を削減し、走行距離を伸ばすことができる可能性があると述べている。これは消費者が電気自動車で旅行中に電力不足にならないか心配する問題の解決に役立つ可能性がある。しかし潜在的な安全性の問題はまだ解決されていない。

 昨年、中国は山東省の青島で、最高時速373マイル(約60キロメートル)に達する磁気浮上式新幹線をデビューさせた。磁気浮上の技術はイーロン・マスクが経営するThe Boring Companyなどのハイパーループ・プロジェクトでも提案されている。研究者たちは10年以上前から磁気浮上式自動車の可能性を探っており、フォルクスワーゲンは2012年にホバーカーのコンセプトを設計している。

 磁気浮上を利用した高速道路の全国ネットワークを構築するには、何年もかかるだろう。ニューヨーク州エネルギー研究開発局のジョージ・サシン副局長は「SFのように聞こえるが、50年後には私たちの日常生活になる可能性が非常に高い」と述べている。近い将来、当たり前の技術になるかもしれない。

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