大規模ゲームイベントをリアル開催する意義とは? 『東京ゲームショウ2022』現地で体験した熱狂から考える
9月15日から18日の期間、幕張メッセで『東京ゲームショウ2022』が開催された。
本稿では、3年ぶりのリアル開催となった同イベントをレポート。現地で受け取った体験を入り口に、ゲームイベント“リアル開催”の意味も考えていく。
3年ぶりのリアル開催となった、世界最大級のゲームショウ
東京ゲームショウは、1996年より続く国内最大規模のコンピュータゲームの展示会だ。アメリカ・ロサンゼルスで開催されるElectronic Entertainment Expo(E3)、ドイツ・ケルンで開催されるgamescomと並び、世界三大ゲームショウと呼ばれることもある。例年、幕張メッセを会場とし、ここ数年は30万人弱の動員数を記録してきたものの、2020年、2021年は新型コロナウイルスの流行により、オンラインのみでの開催(※)となった。今年は3年ぶりのリアル開催。「ゲームは、絶対、とまらない。」をキャッチコピーに、605社の出展企業を迎え、ゲーム業界の秋の風物詩が開幕した。
※ビジネスデイのみ、幕張メッセでオフライン開催。
『東京ゲームショウ2022』3年ぶりのリアル開催に沸いた現地の熱狂をレポート
私が参加したのは、4日間のうちの初日である9月15日。『東京ゲームショウ2022』では、前半の2日間をゲームビジネス関係者向け、後半の2日間を一般来場者向けとスケジュールを区分している。例年、たくさんの来場者が訪れるのは、後半の一般公開日ではあるが、この日も決して少なくない人たちが会場の幕張メッセを訪れていた。
開場直後の入場ゲートは長蛇の列。さすがに何十分も待つことはなかったが、あらためて東京ゲームショウが日本最大級のゲームイベントであると再確認した。
入場し、最初に目に飛び込んできたのは、セガ/アトラスのブースだ。企業ロゴの下には、大型のモニターが設置され、直近の話題作のトレーラーが映されていた。写真に見えるのは、2022年8月に発売された『ソウルハッカーズ2』の映像。そのほか、今年4月にNintendo Switchに移植された人気作『十三機兵防衛圏』などもラインアップされていた。
目玉となっていたのは、2022年11月8日に全世界同時発売を予定している同社発のAAAタイトル『ソニックフロンティア』。正面右には同作の主人公であるソニック・ザ・ヘッジホッグの巨大バルーンが、正面左には同作のロゴと世界観で表現されたフォトスポットが展示されていた。
左から続く列は、『ソニックフロンティア』の試遊を待つ人たち。『東京ゲームショウ2022』では、冒頭の15分をプレイできる試遊台がフォトスポット後方に用意され、開場直後から長い待ち時間を生んでいた。
右奥には、『龍が如く 維新!極』(2023年2月22日発売)や、『ペルソナ』シリーズの展示も。それぞれ『龍が如く 維新!極』、『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』リマスター版の試遊台も用意され、多くのファンが列を作っていた。
奥に進むと、スクウェア・エニックスのブースが。同社からは『FORSPOKEN』(2023年1月24日発売)、『クライシス コア -ファイナルファンタジーVII- リユニオン』(2022年12月13日発売)、『スターオーシャン 6 THE DIVINE FORCE』(2022年10月27日発売)、『ヴァルキリーエリュシオン』(2022年9月29日発売)、『ロマンシング サガ -ミンストレルソング- リマスター』(2022年12月1日発売)などがラインアップされ、試遊も含め、それぞれにファンの視線を釘付けにしていた。
右奥にあったのは、同社の作品の映像を流す超大型モニター。入場口のそばだったこともあり、スタッフが大きな人だかりの整理に奔走する姿もあった。
スクウェア・エニックスからは今後、『The DioField Chronicle』(2022年9月22日発売)、『タクティクスオウガ リボーン』(2022年11月11日発売)、『フロントミッション ザ・ファースト:リメイク』(2022年11月)といった話題作が立て続けにリリースされる予定となっている。すべてが期待どおりの傑作となることを願いたい。
隣のホールにあるカプコンのブースには、『ストリートファイター6』(2023年発売)や、『EXOPRIMAL』(2023年発売)、PlayStationVR2版『バイオハザード ヴィレッジ』(発売時期未定)、『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』(2023年発売)、『モンスターハンターライズ サンブレイク』などが展示されていた。『ストリートファイター6』の試遊を待つ列のなかには、少なくない女性の姿も。近年盛り上がりを見せる格闘ゲームの分野。その背景には年齢・性別を問わない支持もあるのかもしれない。
また、カプコンのブースはほかのブースにくらべ、各タイトルが同等に注目されている様子も印象的だった。『モンスターハンター』シリーズの躍進によって主要メーカーとしての立ち位置を確固たるものとしたカプコン。2023年は、それ以外の看板タイトルたちがゲーム市場を盛り上げてくれるはずだ。
さらに別のホールには、コーエーテクモゲームスのブースが。同社の看板となっていた出展タイトルは、2023年前半発売予定の『Wo Long: Fallen Dynasty(ウォーロン・フォールン・ダイナスティ)』と、2023年2月発売予定の『ライザのアトリエ3 終わりの錬金術師と秘密の鍵』。左右にあるフォトスポットの裏には、両タイトルの試遊台がぎっしり並び、それぞれを楽しむファンたちの姿を見ることができた。
また動線と逆側には、現在開発中とされているスマートフォン向けタイトル『信長の野望 覇道』のフォトスポットもあった。3タイトルと出展数は少なかったが、魅力的な作品ばかりだったコーエーテクモゲームスのブース。2023年は、無双シリーズからの新作にも期待がかかる。
そのほか、携帯型ゲーミングPC『Steam Deck』の試遊ブースや、2022年2月に集英社の100%出資で設立された集英社ゲームスの展示ブース、近年台頭著しいインディーゲームをまとめて展示するコーナー、世界各国のディベロッパーを国単位で一括して展示するパビリオンなど、魅力的なエリアが所狭しと並んでいた。
個人的には、『パニシング:グレイレイヴン』を開発したKURO GAMESがPC/スマートフォン向けに展開予定のオープンワールドRPG『Wuthering Waves』(リリース時期未定)や、Tencent Gamesの新ゲームブランド・Level Infiniteが贈るスマートフォン向けシューティングRPG『勝利の女神:NIKKE』(2022年内サービス開始)、インディーゲームパブリッシャー・PLAYISMが発売するシューティング『溶鉄のマルフーシャ』(今冬発売)・メトロイドヴァニア『Momodora: Moonlit Farewell』(2023年発売)なども気になった。今後の続報に注目したい。
また、今回の開催では、ゲーム分野を主事業としないメーカー・ブランドの出展も目立った。こうした動きは、昨今の配信・実況文化、ゲーミングインテリア市場の盛り上がりを受けてのものだ。世界的な音響ブランド・YAMAHAからはブロードキャスト用のオーディオミキサーやヘッドセット、防音室が、コストパフォーマンスの高い家具・インテリア雑貨などを販売するニトリからは10月発売予定のゲーミング家具シリーズが展示されていた。
写真にあるゲーミング家具はそれぞれ、ゲーミングデスク(税込14,900円)、ゲーミングモニター台(税込2,490円)、ゲーミングシェルフ(税込11,900円)、カップホルダー付きワゴン(税込7,990円)、ゲーミングチェア(税込49,900円)などとなっている。一式をニトリで揃えられるメリットがあるほか、価格もトータル税込87,180円とリーズナブルだ。今後は、より日常生活に寄り添うゲーミングインテリアとして、ニトリの製品がフリークたちの選択肢に入ってくるのかもしれない。
MONSTER ENERGYの展示ブースでは、モンスターエナジー355ml缶の無料配布がおこなわれていた。多くの来場者が詰めかけ、幾重もの列ができる時間帯も。近くの休憩スペースでは、同商品を片手に束の間の休息を取る人たちの姿もあった。_
「ゲーム歴史博物館」と題された東京ゲームショウらしい展示も。各年ごとに、社会全体とゲーム業界の動き、同イベントにおけるデータ、日本ゲーム大賞受賞作品、主なヒットタイトルなどがまとめられたパネルを前に、足を止める来場者の姿もあった。