連載「multi perspective for metaverse」第三回(ゲスト:TREKKIE TRAX)
「メタバースの音楽」が持つ特徴とは? DJ RIO×TREKKIE TRAX(futatsuki&Carpainter)に聞く
メタバース上の音楽アーティストならではの評価軸は?
――クリエイターエコノミーはREALITYの掲げるメタバースの要件としても、掲げられていますね。
DJ RIO:REALITYではスマホアプリということもあって、日々、DJより歌とか楽器演奏のようなイベントが行われていますし、僕たちも、仮想空間で音楽活動して人気を得てきた人たちをサポートする取り組みをしています。
例えばトラックメイカーの人たちとコラボして楽曲提供してもらえるようなイベント。配信の人気ランキングで上位入賞したら、オリジナル楽曲の提供・リリースまでサポートするイベント。
キングレコードさんとレーベルを協業で運営しているので、そこからREALITY出身のシンガーたちのオリジナル楽曲を集めたオムニバスアルバムを出していたりとか、エージェント契約してアーティスト活動のプロデュースをしていく事業をしていますし、僕たちのプラットフォーム上でもそういう歌系のオーディションとかに参加したり、結果として普通に暮らしていけるぐらいの収入を得る人はちょっとずつ出てきている。
ただ、音楽で生計を立てるということの定義が、いまはすごく拡大していると思っています。歌や曲を買ってもらえるという狭義の意味だけでなく、音楽活動してるタレント自体に価値があってグッズが売れたり投げ銭があったり月額のファンクラブがあったり、あるいは企業からのタイアップ案件とか、そういうのを全部含めて生計を立てるとみなすのであれば、そういう人は少しづつ増えていくと思います。
futatuski:メタバース特有のアーティストって何だろうと、僕たちも考えるんです。たとえばリアルだったら、楽曲がめちゃくちゃ上手く作れるとか、DJがめっちゃ上手いというのを重視して僕たちはアーティストの発掘をしてきた。メタバースなりのアーティストとしての評価ポイントは別軸にあるんですかね。
DJ RIO:リアルと共通のポイントと、メタバース独特のポイントがありますよね。共通するのはやっぱり、みんなが応援したくなるストーリーをもたらしてくれる人。応援されて、結果的にグッズが買われたりファンクラブ入ってもらったりとお金が回っていく。
メタバース時代の新しい要素になりつつあるのは、映像表現とか没入体験をいかに構築できるか。それがクリエイターとしては重要になってくるんじゃないかなと思います。
音楽業界でもすでに「ただ歌が上手い人だけならいくらでもいるから、踊れるとかセルフプロデュースできたりモデルができたり、とマルチな要素を求める傾向が強くなっていったと思います。メタバースではそういう要素の一つとして、空間自体をプロデュースできる、映像表現を作っていける人の価値が上がっていくでしょう。
futatuski:僕たちが最近関わっているアーティストも、VRではないんですけど自分でビジュアルをやりたい子がめっちゃ増えてるんですよ。
これまでだったら自分の音楽に合った世界観のアートワークとかミュージックビデオを、誰かにお願いする子が多かった。けど、最近は映像とかアートワークの制作のハードルが下がったのもあって自分でやる子が多い。
DJ RIO:デバイスや普段接しているメディアも昔とは違いますよね。みんなYouTubeで音楽を聴くじゃないですか。だから、音楽を音だけで摂取している人はすごく少なくなっていると思うんです。YouTubeやTikTok……なんでもいいですけど、映像付きで音楽コンテンツを摂取している。
だとすると、その映像や空間自体も込みで「音楽作品」であると捉え始めるのは、普通になっていくのかなという気がしますね。
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