『GUNDAM EVOLUTION』はポスト『オーバーウォッチ』になり得るのか? チームシューター界隈を賑わせる巨人たちの行く末

 バンダイナムコエンターテイメントは4月8日から5日間にわたり、自社が開発を手掛けるゲーム作品『GUNDAM EVOLUTION』(ガンエボ)のネットワークテストを行った。

 『ガンエボ』とは、日本が世界に誇る人気ロボットアニメ「機動戦士ガンダム」(ガンダム)シリーズの世界観に基づいたFPSタイトル。プレイヤーは計14体(2022年5月時点)のユニット(モビルスーツ)から1体を選択し、6人のチームメンバーと一緒に対人戦へ挑む。”ガンダムチームシューター”と開発元が謳う通り、チームバトルを主軸としている点が特徴だ。

『GUNDAM EVOLUTION』ネットワークテストトレイラー

 その一方、『ガンエボ』は同系統のゲーム体験を備えるFPSタイトル『オーバーウォッチ』との類似性も指摘されている。

 『オーバーウォッチ』はBlizzard Entertainmentが開発したアクションシューティングゲーム。同作も6vs6のチーム戦がメインで、『ガンエボ』とは世界観こそ異なるものの、本質的なゲーム性の部分で幾つかの共通点が見受けられる。

『オーバーウォッチ2』テストプレイ

 この「オーバーウォッチ」シリーズも4月末から5月頭にかけて最新作『オーバーウォッチ2』のベータテストが進行しており、実際に体験したプレイヤーからは賛否両論の様々な意見が寄せられている。

 それゆえ、熱心なFPSプレイヤーの間では『ガンエボ』と『オーバーウォッチ』の比較が白熱。サービス開始前にも関わらず、「どちらがチームシューターの覇権を握るのか?」といった議論がコミュニティを中心に数多く上っている。

歴代のガンダムゲームと一線を画すチームシューター作品

 『ガンエボ』は”6vs6のチームシューター”という大前提のもと、目標物の奪取やエリア確保を目指すゲームルールを実装。プレイヤーは各作品から参戦したモビルスーツに乗り込み、フィールド内を自由に駆け巡りつつ、敵ユニットの破壊および拠点防衛を行う。

 各モビルスーツはそれぞれ通常兵装のほか、「Gマニューバ」と呼ばれる特殊兵装を搭載。それらを使って敵チームへ攻撃を仕掛けられるだけでなく、エネルギーを消費する代わりに高速移動が可能なブーストシステムもデフォルトで備わっている。またモビルスーツ間における機体性能の差は皆無に等しく、強みや弱みこそあれ、スペック面で大きな違いは存在していない。

 こうした『ガンエボ』の特徴は、歴代ガンダムゲームにおいてもかなり異質だろう。同じくチームバトルを題材に掲げたシリーズ作品と言えば「ガンダムVS」や「戦場の絆」、「バトルオペレーション」等が挙げられるものの、マップサイズの違いによる戦闘の起こりやすさ・勝利条件・そして”一人称視点での銃撃戦に特化したゲーム性”という点で明確な違いが生じている。

『機動戦士ガンダム EXTREME VS. マキシブーストON』PV

 とりわけ大きく違うのは、「機体の基本性能が均一」な点だろう。「ガンダム」本編におけるモビルスーツ群には当たり前のように機体の性能差が存在し、従来のガンダムゲームにおいても高性能な機体はスペック面でも優遇され、逆に「ジム」や「ザク」といった量産機は機体性能もそれなりに留まっていた(例外を除く)。

 加えてスペック面だけでなく、機体の使用時にかかるコスト面でも差別化されることが多く、多くのガンダムゲームでは機体の性能差が目に見える形で仕様として組み込まれていた。

 しかし、『ガンエボ』のモビルスーツはいずれも”基本”性能面で大きな違いは見受けられない。ゲーム内では前述のジムやザクと並び、シャア・アズナブルの専用機「サザビー」や大量のナノマシンを背部から放出する「ターンエーガンダム」などが同列として扱われている。

 もちろん得意シチュエーション及び不利なマッチアップ等はあるものの、基本的にはどのモビルスーツで戦っても特に問題なし。『ガンエボ』は単純な機体性能よりも、アタッカー・タンク・サポートといったチーム内の役割を意識したゲームデザインを採用しており、この点こそ、同作が『オーバーウォッチ』と似ていると指摘される最大の所以だ。

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