先進的なスマートフォンを発表 「Nothing」と「OSOM Products」の共通点は“Androidの父”が残した「Essential Products」との関係性にあり
「OSOM Products」は、正式な後継者としてイメージの払拭を目指す
「OSOM Products」は、「Essential Products」のメンバーを中心に設立されたテック企業だ。そういった意味では、「Essential Products」の正式な後継者は、「Nothing」よりも「OSOM Products」の方がふさわしいともいえる。企業名の"OSOM"は、英語のことわざ"out of sight, out of mind"の略称で、発音は"awesome"と同じだ。彼らは、プライバシーをテーマに掲げており、世界一のプライバシーブランドの確立を目指している。
そんな同社初のスマートフォン『OSOM OV1』は、『Essential Phone』を彷彿とさせる仕上がりだ。デザインはもちろん、ステンレスやチタン、ジルコニアといったプレミアム素材を使用するなど共通した部分が多い。カラーは、ホワイトとブラックの2色を予定している。三角形のカメラモジュールが特徴的な背面には4,800万画素と1,200万画素のデュアルカメラ、前面には1,600万画素のシングルカメラを搭載。SoCにはSnapdragonの8シリーズを採用予定だ。付属品として、ユーザーが充電と情報の同期を手動で切り替えられるUSB-Cケーブルを用意している。本作は、2022年秋冬に発売予定だが、現在日本での発売はアナウンスされていない。
本作で特徴的なのは『Essential Phone』との差別化に力を入れていることだ。先日公式ツイッターで公開された各スペックを紹介する画像にも『Essential Phone』との比較が見られる。また、各媒体のインタビューでも「Essential Products」に関する言及が多い。それだけ『Essential Phone』のユーザーが、『OSOM OV1』に期待しているともいえるだろう。
「OSOM Products」は、残された「Essential Products」のユーザーを満足させつつ、プライバシーというテーマで頭角を現さなければならない。近年、スマートフォンにおけるプライバシー保護の声は高まりを見せている。「Apple」は2021年に広告主の追跡をユーザー側がコントロールできる「トラッキング防止機能」を追加した。今年に入って「Google」も追随するように、Androidアプリにおけるプライバシー保護の強化を発表した。大手企業がこうした動きを見せる中、スマートフォン自体にプライバシー保護という付加価値をつけたのは賢い選択といえる。しかし、プライバシーという広大なテーマで、それなりの地位を確立するのは困難な道のりだろう。だからこそ、どのようなアプローチを見せてくれるのか、『OSOM OV1』の追加情報を待ちたいと思う。
「Essential Products」よ、永遠に
「Nothing」は、『ear(1)』の熱量が冷めないうちに、『phone(1)』の発表にこぎつけた。満を辞して送り出される2つ目の製品は、カール・ペイの本職でもあるスマートフォンだ。彼にとって理想的な展開といえるだろう。一方「OSOM Products」は、『OSOM OV1』の発売予定を2022年夏から秋冬に延期した。『Essential Phone』の顛末を知っている身としては、少し不安の生まれる展開だが、数々のトラブルを払拭した製品になることを願いたい。
「Essential Products」は短命ながら、良くも悪くも市場に大きな影響を与えた。今年はそんな影響を受けた2社から初のスマートフォンが登場する。今後は「Essential Products」を記憶に留めながら、「Nothing」と「OSOM Products」の躍進に期待したいと思う。
(参考文献)
https://jp.nothing.tech
https://mobile.twitter.com/nothingjapan
https://osomprivacy.com
https://twitter.com/OsomPrivacy