『リレイヤー』に集まる賛否。期待の新規IPがシリーズ化する可能性は?
3月24日、『Relayer(リレイヤー)』(以下、『リレイヤー』)が発売となった。
シミュレーションRPGジャンルからの話題作が多い昨今。角川ゲームス発の同タイトルにも、開発発表時から多くの期待と注目が集まっていた。
『リレイヤー』はゲームフリークが納得する作品となり得たのだろうか。インプレッションから感じた方向性、好評・不評のあいだにあるギャップから、IPとしての今後を考える。
「星の意志」を継いだ少女たちによる壮大なスペースアドベンチャー『Relayer』
『リレイヤー』は、角川ゲームス開発・発売のロボットシミュレーションRPGだ。2021年5月、同社で『GOD WARS ~時をこえて~』の制作に携わったチームが手掛ける新規IPとして発表され、2度の発売延期(2021年中→2022年2月17日→同年3月24日)を経て、ようやくリリースへとこぎつけた。
公式によるコピーは、「星とギリシア神を擬人化した人類と古代銀河人が織りなす壮大なスペースアドベンチャー」。プレイヤーは、「ステラギア」と呼ばれるメカに乗り込む「星の意志」に魅入られた主要キャラクターたちを操作し、地球とそこに住む人類の生存権を守る戦いに足を踏み入れていく。
対応プラットフォームは、PlayStation4/PlayStation5。価格は、通常版が7,980円(税込)、デラックスエディションとデジタルプレミアムエディションが9,980円(税込)となっている。角川ゲームスによると、今後は追加要素などを盛り込んだアップグレード版をあらためて発売する予定はなく、メカの強化システムなど複数の新規要素(進化機体やスピンオフストーリーズを除く)を無償で実装するとしている。
集まる賛否。『リレイヤー』は“評価どおり”の作品なのか。
『ファイアーエムブレム 風花雪月』『スーパーロボット大戦30』の成功、両シリーズの30周年、『トライアングルストラテジー』の発売、『フロントミッション』第1作・第2作のリメイク&リマスター発表、スクエニ発・新規IP『The DioField Chronicle(ディオフィールド クロニクル)』の登場など、SRPGジャンルが往年の盛り上がりを見せるなか、小さくない期待が集まっていた『リレイヤー』の発売。上述の王道・本格派の作品たちに対し、角川ゲームスがどのように同ジャンルを解釈し、独自性を見せるか。その点が今後のSRPGの懐の深さに与える影響は大きかったように思う。
発売から1週間ほどが経過し、『リレイヤー』には真っ二つの評価が集まりつつある。概ね好評なのは、キャラクターデザインと、フルボイス進行のシナリオについて。一方で不評なのは、SRPGとしてのゲーム性やUI、演出まわりについてだ。
たしかに『リレイヤー』は、前段で王道・本格派とした作品たちにくらべ、シナリオに対する比重が高く、ゲーム性については「必要最低限」という印象だった。バトルパートより、ストーリーパートをプレイしている時間の方が圧倒的に長く、直前に発売された『トライアングルストラテジー』以上に、ノベルゲーム色の強い仕上がりとなっている。私は『トライアングルストラテジー』について書いた過去のコラムで、同タイトルを「(ファンタジー)アドベンチャー+シミュレーションRPG」と表現しているが、『リレイヤー』を「アドベンチャー」ではなく「ノベル」と表現したのは、ストーリー分岐のある前者に対し、後者は一本道のストーリーを追うつくりであるからだ。SRPGとして同タイトルを手に取ったプレイヤーからすると、そこに大きな抵抗を感じるのは容易に理解できる。おそらくシナリオ部分に注力されているからこそ、SRPGとしてのゲーム性の部分が不充分だと判断されているのだろう(そもそもこの2つは両立しない要素ではないが)。
しかしながら、もしそうであるならば、たとえば、(バトルパートでの演出は置いておいたとしても)ストーリーパートでは、アニメーションなどを使って演出してほしいシーン、登場人物たちの心理描写を丁寧に表現してほしいシーンがいくつもあった。このあたりがしっかり作り込まれていたら、少なくともキャラクターデザインを入り口に同タイトルを手に取ったプレイヤーを納得させることはできたのではないだろうか。ネガティブレビューで“フルプライスなのに前時代的”と言われる理由も、もとをたどれば、こうした点へと行き着くはずだ。