「VTuberは新鮮さが命」ファンとの関係性で創造されたキャラクターを守るにじさんじ・剣持刀也の流儀

 キズナアイが「YouTuberのような活動をするバーチャルな存在」としてバーチャルYouTuberを名乗ってデビューしたのが2016年12月のころ。

 モーションキャプチャーと全身トラッキングで自在に動く3Dモデルを活かし、3D空間でいくつもの企画を発表していったキズナアイ。続いて、輝夜月・ミライアカリ・電脳少女シロを加えた「バーチャル四天王」らが登場。その後は、Live2Dのモデリングを使用してキャラクター絵を表情豊かに動かし、ゲーム配信やアイディアを凝らした配信を中心にしたスタンスのVTuberやバーチャルタレントが加わり、シーンが変化していったことは何度となくこの連載の中でも指摘してきた。

 最初に書かせていただいたが、剣持刀也はもともとVTuberのファンである。そんな彼は「たとえ一回ウケたものだとしても、同じ話題やネタを擦り続けない、新鮮さが命なんですよね。」とこれまでに話してきた。

 まるでお笑い芸人の矜持のようでもあるが、次から次へと新しいネタを配信していくことでリスナーの注目を集め、満面の笑みをもたらそうとする姿はYouTuberそのもののようでもある。そんな彼だからこそ、2Dでも3Dでもなく「現実」の世界へと飛び出して「バーチャル」な存在を貫こうとする、ROF-MAOに参加したのも頷ける。

 努力を決して表に出そうとしないが、音楽ライブに出演することが多くなったことを受けて、2021年からはボイストレーニングに通い始め、早くもその成果がライブでも実を結び始めているところ。7月27日の3マンライブで彼がどんな姿を見せてくれるのか、そしてそのセンスと才覚を今後どのように広げていくのか、注目すべきだろう。

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