「VTuberは新鮮さが命」ファンとの関係性で創造されたキャラクターを守るにじさんじ・剣持刀也の流儀

 2022年7月27日に横浜・ぴあアリーナMMにて、Kuzuha & Kanae & ROF-MAO Three-Man LIVE『Aim Higher』の開催が決定した。葛葉と叶に加え、ROF-MAOのメンバーである4名(加賀美ハヤト、剣持刀也、不破湊、甲斐田晴)の合計6人が登壇する3マンライブのイベントだ。にじさんじの男性陣のみで組まれた今回の出演陣をみて、特に女性ファンからは大きなリアクションと期待の声が上がった。

 今回は出演者のなかでも、もっとも長く活動を続ける剣持刀也について記していきたい。

 彼は元々VTuberのファンとして多くの配信・動画を視聴みていた彼だが、にじさんじ一期生である月ノ美兎の配信と出会ったことが、大きな転機になったという。

 月ノのビジュアルの可愛さだけではなく、彼女自身の性格や個性がほとばしる内容に強く惹かれ、「自分も配信する側へと立てるのではないか?」と気づかされ、意を決してにじさんじの門を叩くこととなった。

 月ノを含むにじさんじ元一期生が2018年2月8日と9日にデビューし、2018年2月22日には早くも第二次オーディションの開催が発表された。このオーディションで選出された剣持は3月24日にYouTubeで初配信を行い、デビューを果たした。つまりオーディションへ応募してからわずか1か月ほどで、彼はVTuberとしてデビューしたことになる。

 そんな彼のデビュー配信直前、憧れだった月ノ美兎にツイッターで挨拶したところ、「剣持”力”也」と名前を間違われてしまったのは有名な話だ。

 直後に彼女は剣持に謝罪をしており、後年になっても新人ライバーに関しては「リスナーに対して変な印象がついてしまうから、名前を触れることにトラウマがある」とも彼女が語っているほどだ。

 実はこのツイート、一番後ろで月ノのファンマークである兎ではなく、樋口楓のファンマークである紅葉をつけている。2022年のいま振り返れば、剣持があえてボケているように邪推できなくもないが、この名前の間違いがキッカケとなり、デビュー前から彼はリスナーからイジられがちになってしまった。

 とはいえ、彼も決意を決めて乗り込んだバーチャルタレントのシーン。先輩のミスから生まれてしまった状況を、彼はうまく自分のキャラクターへと昇華してみせた。彼のコメディアンな気質や理解力は、この段階でも発揮されていたのだ。

 彼の配信には、当時から現在に至るまで特徴的が部分はいくつかある。まず、彼は『Apex Legends』や『VALORANT』といったFPS・バトロワゲームをプレイすることは一切なく、定期的にプレイするゲームが数タイトルしかないという点だ。

 現在のVTuberやバーチャルタレントは多くの場合得意ゲームやジャンルを持っていたり、多種多彩なゲームタイトル/ゲームジャンルをプレイすることが少なくないが、彼は真逆のスタンスで配信に臨んでいる。

 その代わり、『あつまれ!おえかきの森』『Slither.io』『TETRIS 99』や、インディーゲームなどに加え、なんとリスナー手作りのゲームをプレイしていたこともある。

 このほかにも、任天堂から発表されているゲームタイトルが好きで、『マリオカート8 デラックス』『ポケットモンスター』関連ゲームをプレイすることもあった。

 ゲーム実況者やストリーマーのように「自分のゲームプレイを見てもらう」という形ではなく、「配信を見ているリスナーが参加して一緒に楽しめる」という参加型の配信を多く行ってっているのが、彼のゲーム配信における最大の特徴だろう。

関連記事