現代社会の必須アイテムになるかも? ミストでやさしく浸透する新型目薬

 現代はテレビやパソコン、スマートフォンといった文明の利器からさまざまな情報を視覚的に獲得できる、便利な世の中だ。しかし、これらのツールはあまりの便利さゆえについつい使いすぎてしまい、知らず知らずのうちに目に大きな負担をかけてしまっている。ちょっとだけ見るつもりがいつの間にか1時間、2時間……と時間が経ってしまっていた、ということもよくあるのではないだろうか。

 長時間画面を見ることで目はどんどん疲れていき、かすみ目や充血、異物感が発生するとともに、視力もだんだんと落ちていく。目が悪くなるとストレスも溜まりやすくなるほか、肩や首のこりも誘発して生活の質も下がってしまいかねない。大事な目を守るために、目薬を差したり、ジェルパッドや蒸気マスクを使って目を冷やしたり温めたり、目のマッサージをしたりといったケアを試みるものの、目薬がうまく差せない、シートなどで目を休めるのは時間がかかる、マッサージは眼球へのダメージが心配……などといった悩みを抱える人も多いようである。

 急速な経済発展とデジタル革命を遂げた中国でも、都市部を中心として目のケアが人びとの健康に関する大きな課題の一つになっているようだ。新型コロナが流行する前、毎年何百万人もの中国人観光客が日本を訪れていた頃には、日本の化粧品とともに目薬も人気のお土産の一つとして脚光を浴び、代理購入も盛んに行われた。一方で「差せばたちどころに目が良くなる」といったような誇大宣伝や、説明書を読まず(読めず)に適正回数を大きく超える頻度で差した結果かえって目を傷めてしまうというトラブルが起こり、社会問題になるというネガティブな現象も起きた。それはさておき、日本製目薬ブームも、中国人の目に対する健康意識の高まりの表れと言えそうだ。

 そんな中国で新しく開発されたのが、携帯式のコンパクトな目のミスト噴射器だ。目薬などの液体を電気信号により、1000個以上もの微細ノズルから一斉噴射してミスト化し、目を優しく包むように浸透していくという仕組みで、ミストの直径は髪の毛の50分の1に相当する3~5マイクロメートルと非常に小さく、使用時の抵抗感が全くないという。

 また、しずくを1、2滴垂らす目薬とは異なり、ミストが目の隅々まで行き渡るため、薬液の成分を十分に吸収することができる。目薬を差した時のような痛さやしみる感じは一切なく、「知らず知らずのうちに目の疲れが取れてリラックスできる」という。しかも、ミスト化できるのは点眼薬だけではなく、洗眼液、蒸留水、生理食塩水などもOK。目を優しく洗ったり、目の周りのメイクを落とす際にも使うことができるのである。

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