第3世代AirPodsがノイキャンを搭載しない理由 狙いは「空間オーディオ」の普及か

 2021年10月19日にAppleが実施したスペシャルイベントにて、第3世代目となる新しい「AirPods」が発表された。国民的ワイヤレスイヤホンのリニューアルだ。

 AirPodsシリーズは2016年に初代が発売され、2018年に第2世代が、2019年にノイズキャンセリングを搭載した上位機種のAirPods Proが発売された。今回の第3世代はどのあたりの位置づけになるのか、改めて確認してみよう。

AirPods(第3世代)

 まず、新しいAirPods(第3世代)は、第2世代を置き換えるものではなく、第2世代と併売される。その理由は、第2世代とは機能や価格の面で違いがあるからだ。なので、現状のAirPodsのラインナップは、第2世代・第3世代・AirPods Proの3モデルとなっている。

AirPods(第2世代)

 第3世代と第2世代を比較すると、まずデザインが異なっている。いわゆるうどん型には違いないが、ステムが短くなりコンパクトになった。バッテリー持ちは最大5時間から最大6時間に向上(ケース充電込みの場合、最大24時間から最大30時間に向上)。ステムには感圧センサーが搭載され、AirPods Proと似た操作性に。詳しい違いはAppleの比較ページを参照して欲しい。

AirPods Pro

 もっとも大きな違いは、空間オーディオに対応した点だ。これまで空間オーディオに対応したデバイスはAirPods ProとAirPods Maxの2機種だけだったが、AirPods(第3世代)の登場によって対応モデルがさらに増えた。第3世代の価格はAirPods Proより約7,000円ほど安いため、空間オーディオを手軽に楽しみたいならもっとも手軽に入手できるイヤホンとなるだろう。

 一方、ノイズキャンセリングは非搭載となっている。AirPodsは代々、耳に押し込まないインナーイヤー型を採用してきたが、このタイプは遮音性がイマイチで、ノイズキャンセリングには向いていない。そのため、ノイズキャンセリングの非搭載は理に適っているともいえる。

 すなわち今回の第3世代は、「空間オーディオに対応したAirPods」と認識して良い。これはAirPods Proの廉価版ではなく、かなり独自のポジションだ。というのも、AirPods Proは耳に押し込んで装着するカナル型で、AirPodsの名を冠していても装着感にはかなり違いがある。インナーイヤー型は装着の手軽さが利点であり、そこを好んでいるユーザーも少なくない。手軽な装着感+空間オーディオという、今までになかった体験が第3世代の持ち味だ。

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