東南アジアのAI市場が飛躍的な経済成長中 新興国からの新たなビジネスに注目
ポストコロナにおける経済の後退が危惧されるなかで、飛躍的な経済成長が見込まれているのが東南アジアやアフリカをはじめとする新興国だ。
AI企業SenseTimeは19日、東南アジアでのAI活用を促進させるための拠点として、「SenseTimeインターナショナルAIイノベーションハブ」をシンガポールに新設したと発表した。
ビジネスやそのパートナーにとって開かれた場と化した「SenseTimeインターナショナルAIイノベーションハブ」。教育やエンタメ、ヘルスケアといった各業界におけるリアルタイムなAI活用を体験できる8つのゾーンによって構成されたそこはいわゆる“生きたハブ”だ。その一角にはSenseTimeが独自に開発した拡張現実技術を体験するゾーンが設けられており、そこでは室内でマーライオンとマリーナベイ・サンズの拡張現実化された写真を撮影するという未知の体験ができるようになっている。
オープニングイベントに招待されたシンガポール教育省の国務大臣を務めるSun Xueling氏は、「このコロナ禍では持続可能なイノベーションを後押しすることが重要視されるなかで、経済のデジタルトランスフォーメーションの必要性が問われている」とシンガポールの現地紙の取材に対しコメントした。
コロナ禍においてAI特需の状況となりつつも、AI技術の需要に対し、その技術の開発に携わる人材の育成が全く追いついていないのが現状だ。AI関連の人材育成をどうするかが最優先課題として浮上するなかで、SenseTimeは現地華人組織であるBusiness Chinaや技術教育機構(ITE)と業務提携を締結。今後は若者を対象にインターシップや留学の機会を提供する予定だ。
ちなみに、SenseTimeはアジア・中東を拠点に事業を展開するグローバル企業である。中国や香港、シンガポール、アラブ首長国連邦にてビジネスを展開するとともに、日本国内では東京および京都にオフィスを設置。20年以上の経年変化にも対応する世界レベルの顔認識技術を強みとしているだけに、最先端の技術をどう駆使し、スマートシティやエンタメなどの分野にどう寄与していくかが見所である。
東南アジア諸国では2030年までにAI関連技術で東南アジア諸国のGDPを10~18パーセント増やし、1兆米ドル(約110兆円)規模の経済を目指すという構想を打ち出している。今回シンガポールに新たに設置されたそのAIイノベーションハブはその名の通り東南アジアのAI産業のハブとして、東南アジアのデジタル経済を加速化すると同時に、コネクテッドデバイスを通じて新たな可能性を開拓していく役割を担っている。