連載:ゴールデンボンバー歌広場淳の「続・格ゲーマーは死ななきゃ安い」

歌広場淳が語る、おじリーグで見えた“新たな景色”「偏見を退け、人間性というものを直視させてくれた」

キーワードは「普通」「偏見」「慈悲」

 ひとつは「普通」。おじリーグは、eスポーツという概念が生まれ、ゲームはプロゲーマーが戦うものだという雰囲気になったときに、「いやいや、ゲームがただ好きだった裏方のおじさんたちが集まって戦ったら面白いぞ」「ゲームは普通の人のものでもあるんだ」というところから始まったと思います。しかし、プロではなく普通の人でありながら、「自分は普通じゃなく、特別なんだ」ということを証明したくて、本気で勝ちに行く。おじリーグはそこが歪で、優勝者と最下位だけが特別で、生き残ったプレイヤーは「普通」です。特別な存在になりたくて集まった人たちが戦い、普通であることに安堵するという冷静に考えるとおかしな構図の大会であり、当たり前の価値観を壊してくれるものだったと思っています。そこがとても面白い。

 次に「偏見」。読んで字のごとく「偏った見方」「先入観で見る」という意味として捉えられますが、ここでは「偏った部分しか見ない」という意味で話します。今回の大会はKSKさんが主人公であり、MVPだったと思います。その活躍を文字にしてしまうと、「他のプレイヤーよりプレイ時間が短い新規参入者であるがゆえに、事前の最下位予想でぶっちぎりの1位になり、実際に最下位になった」というだけのこと。しかし、その過程で「生き残ってほしい」と応援する人が増え、KSKさんのプレイに感動して泣いたという人もたくさんいた。そこで感じたのは、それまでみんながKSKさんのネタ的な伝説、面白いエピソードばかりに注目していて、勝利を目指して格闘ゲームと真摯に向き合う、普通の部分を見ていなかった。大会を通じて、僕らは「偏見」なしに、KSKさんの人間的な部分を「直視」して感動したんだと思います。KSKさんは最後まで諦めず本気で戦い、恥も外聞もなく、熱いプレイを見せてくれたのだから、そんな人を嫌いになれるわけがないでしょう。誰かのために、みっともないことを一生懸命にやる、というのはゴールデンボンバーの理念と共通するものであると、このお話をしながらふと気付きました。

 そして最後に「慈悲」。いわば“人が負ける”のを楽しむことがひとつのコンセプトになっている大会の中で、KSKさんが負けたときに、みんな悲しかった。僕たちは、格闘ゲーマーに瞬間の輝きのようなものを求めていたけれど、「もうこのメンバーでゲームができないんだ」ということが悲しかったんです。つまり、僕らは99秒で生き死にが決まるという、瞬間の美学だけでなく、永続する美学もあるということに気がついた。それは慈悲の心なんだと思ったんです。「一瞬の輝きを見せてほしい」ではなく、「永く輝いてほしい」というのは、慈悲の心がなければ思えない。おじリーグはこれまで「無慈悲な戦い」というイメージでしたが、それが第4回目にして変わりつつあり、次回から新章に突入していくのではないかと考えています。

 ……なんて、世界中で僕だけしか思っていないことを熱く語ってしまいましたが、本当に面白い大会なので、未見の方はぜひアーカイブで観ていただきたいと思います。僕のなかでは起承転結が一周し、次回から「シン・おじリーグ」になるので、それがどんなものになるのか、いまから楽しみです。

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