「人類を滅ぼす!」発言で物議、香港のロボット「ソフィア」が高齢者介護で再び注目集まる

 一時は「人類を滅ぼす!」発言で物議を醸した香港のハンソン・ロボティクス社のヒューマノイドロボット「ソフィア」。海外メディアを前に、ハンソン・ロボティクス社を案内しながら、「私のようなソーシャルロボットこそ、病気の人の介抱や高齢者の介護をすることができる」と発言し、再度注目が集まっている。

 香港と言えば、男女ともに平均寿命がトップであり、日本と同様、年々少子高齢化の問題が深刻化している。2025年には超高齢社会に突入するとも言われており、そのような状況下でまず求められているのが高齢者介護に携わる人手不足の解消だ。

 そんななか、ソフィアは上記のような宣言をすると同時に、「たとえ困難でも、高齢者とコミュニケーションをとったり、施術に参加したり、あるいは社会的刺激を与えたりすることは可能である」と続けてコメントした。

 ソフィアは2016年、ハンソン・ロボティクス社のもとで誕生。その情報はインターネットを通じて拡散され、今や世界では知る人ぞ知るロボットのひとつとなった。そして現在、ソフィアの生みの親であるハンソン・ロボティクス社は今年末までに大小問わず、ソフィアを大量生産するという新たな目標に向けて動き出している最中だ。ソフィアが近い将来到来する超高齢社会に太刀打ちできる新たな人材として有望視されているのは言うまでもない。

 ロボットがコロナ禍で浮上した諸問題に対する解決の担い手になり得ることは、すでに多くの専門家により言及されている。ハンソン・ロボティクス社の創業者兼最高経営責任者であるデイヴィッド・ハンソン氏は、「コロナ禍真っ只中の世界ではとにかく、人々を安心させるための自動化が最優先課題である。弊社ではコロナ禍への対応策の一環として、医療機関のみならず、お店や空港での客への対応も視野に入れているわけだが、ソフィアは人間的な側面を持っており、少なくとも人々との接触が絶たれたコロナ禍においては、孤独感に苛まされている人々にとっての癒し役になれるのではないだろうか」と海外メディアの取材に対しコメントした。

 ロボットに秘められた潜在性は高い。機械学習を採用したAIやロボットに関して言えば、例えば子供向けのスマート玩具の場合、子供から収集した多種多様なデータに基づき学習することに長けている。それぞれのモノの形を子供がどう認識しているかを把握したうえで、必要に応じてアドバイスしたり、好みのアイスクリームの味を覚えたりといったように、学びや遊びにおける役割が大いに期待されている。英国の調査会社ジュニパー・リサーチによると、スマート玩具市場は2023年までに180億米ドル(約1兆9800億円)規模に達するとされており、この数年で急成長が見込まれている。

 その一方で、「ワールド・エコノミック・フォーラム」の指摘にもあるように、子供向けのスマート玩具の開発に際し、子供から収集したデータがスマート玩具を開発する企業のみならず、第三者である大学などの機関や組織に売り渡される可能性が高い。実際、子供のデータ保護や安全性を考慮のうえで設計されていないケースもあり、データの取り扱いをめぐる問題が懸念材料となっている。

 データをめぐる問題をクリアできるかが、ヒューマノイドロボットおよびスマート玩具界隈における今後の進展を左右しそうだ。

(画像=https://www.hansonrobotics.com/sophia-2020/より)

<Source>
https://www.youtube.com/watch?v=JRHdnkUjcZg&list=LL&index=2
https://www.reuters.com/article/us-hongkong-robot-idUSKBN29U03X
https://www.weforum.org/agenda/2021/03/smart-toys-your-child-s-best-friend-or-a-creepy-surveillance-tool/

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