価値は野球カードやコミック以上? 高騰する中古ビデオゲーム・オークション市場

高騰する中古ゲーム市場に注目

 先日、未開封の『スーパーマリオ64』が1億7000万円で落札されたと報じられた。この報道からわかるように、(古いことでかえって価値が上がった)ヴィンテージビデオゲームのオークション市場が活況を呈している。同市場の動向やヴィンテージビデオゲームが高額取引される理由に関して、海外メディアはさまざまに報じている。

25年でレアアイテムに

 総合メディア『SLATE』は14日、ヴィンテージビデオゲーム市場に関する特集記事を公開した。その記事では、未開封の『スーパーマリオ64』の取引額の特異性を考察している。

 1996年発売の同ゲームは、発売から25年が経過した時点で未開封品が100万ドル以上で取引された。オークション市場で取引されるホビー商品には野球カードやコミックがあるのだが、25年程度では100万ドル超えて取引されない。例えば、20世紀初頭に活躍し「史上最高の遊撃手」と言われることもあるホーナス・ワグナーの1909年に印刷された野球カードは、2000年に100万ドル以上で取引された。また、DCヒーローのスーパーマンが初めて掲載された1938年出版のコミック誌『アクション・コミックス』は、2010年に100万ドルで取引された。このように1996年のホビー商品が100万ドル以上で取引されたのは、きわめて異例である。

 ヴィンテージビデオゲームは、未開封品である場合に破格で取引される。というのもビデオゲームに関しては、フィギュアのように保存するためだけに購入するという文化がまだ定着していないので、未開封品がきわめてレアなアイテムとなるからだ。

 未開封なヴィンテージビデオゲームを買い取ったコレクターは、当然ながら、そのゲームを決してプレイしない。彼らは、自分のコレクションを銀行の貸金庫に保管して破損や紫外線による劣化を避けるようにしている。

ダウンロード販売が価値を上げた

 イギリスのインディペンデント紙電子版も14日、ヴィンテージビデオゲーム市場に関する特集記事を公開した。その記事では、メディアとビデオゲームについて研究しているアメリカ・ノートルダム大学所属のMatthew Payne准教授のコメントを紹介している。

 同教授によると、『スーパーマリオ64』が100万ドル以上で取引されたのは驚くべきことはない、とのこと。というのは、同ゲームをはじめとした任天堂の人気ゲームシリーズは世界中にファンがいるので、当然の帰結として取引額が高額になるのだ。

 さらに、近年ではヴィンテージビデオゲーム全体の価格が高騰する傾向にある。その理由として、ビデオゲームのダウンロード販売が普及するにつれて、物理的なパッケージ版の価値が相対的に上がっていることをPayne准教授は指摘している。

 世界がコロナ禍に見舞われてからは、ヴィンテージビデオゲームだけではなく(単に古いだけの)レトロゲームの価格も上昇している。イギリスでは、平均的なレトロゲームの価格が33%上昇したという調査結果もある。

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