AIやバクテリアが数百年前のアートを修復!? テクノロジーの進化でよみがえる作品たち
先月末、オランダの画家、レンブラントの「夜警」が約300年ぶりに元の姿を取り戻したことが大きな話題となった。現在アート作品の修復には、様々な科学技術が用いられている。
レンブラントの「夜警」修復にAIが活躍
レンブラントの「夜警」は、1715年にアムステルダムの市庁舎へ飾られる際、壁とのサイズが合わなかったため、絵の四方が切り取られてしまった。そして破片はその後行方不明だという。19世紀以降、トリミングされた「夜警」はアムステルダム国立美術館の目玉作品として展示されていたが、2019年、同美術館は失われた部分を復元するため、数億円をかけたプロジェクト「オペレーション・ナイト・ウォッチ」に着手した。
修復には2つの手がかりがあった。1つは17世紀のオランダの芸術家、Gerrit Lundensが描いた「夜警」の模写だ。これは現在、ロンドンのナショナル・ギャラリーに展示されている。もう1つは、レンブラントの描画スタイルを分析、模倣する機械学習システムを構築するAIだ。
プロジェクトでは、「夜警」を9つの異なる手法で撮影し、Gerrit Lundensの模写と比較するなどして学習精度を高めていった。その結果、切り取られた四方の描写の再現に成功し、左側に2人の男性と、1人の少年が出現した。作品の全貌を表した複製パネルは、2021年9月末まで同美術館に展示され、その後はオリジナル作品を尊重するために撤去されるという。