Netflix、ゲームサブスクに参入か? 2022年までゲーム原作オリジナルアニメも目白押し

 動画ストリーミングサービスの最大手Netflixが、新たなサービスを展開しようとしている。そのサービスは、大手テック系企業でも苦戦している分野のものだ。

2022年には立ち上げか

 ロイター通信は22日、Netflixが新規に立ち上げるゲームサービスを率いる幹部を求人中であることを報じた。この動きから、コロナ禍によって同社サービスへの新規加入者が急増した「コロナ特需」が一段落した現在、同社が新たな成長戦略を模索していることがわかる。

 Netflixとゲームは決して無縁なわけではない。例えば、2018年に配信された『ブラック・ミラー: バンダースナッチ』は、視聴者が選択肢を選ぶことによってストーリー展開が変わるアドベンチャーゲームのようなインタラクティブコンテンツとなっている。また、2017年にはオリジナルドラマ『ストレンジャー・シングス』を原作とするアプリゲームを配信している。

 Netflixが計画中のゲームサービスは、Appleが提供しているAppleArcadeに類似したものとなり、動画サービスとバンドル化することが議論されている、とのこと。

 以上の報道に関してゲームメディア『Polygon』がNetflixに問い合わせたところ、同社は継続的に提供するコンテンツの種類を増やしており、インタラクティブコンテンツはストーリーをよりダイレクトに楽しめるものである。それゆえ、こうしたコンテンツを今後も増やしたい、という内容のコメントを得られた。このコメントからはゲームを開発しているかはわからないものも、インタラクティブコンテンツに強い興味を示していることがわかる。

 総合メディア『AXIOS』が24日に報じたところによると、Netflixのゲームサービスは早ければ2022年から提供される可能性があるが、この計画は変更される余地があるようだ。

Angry BirdsにCyber punk 2077も

 Netflixは前述の『ブラック・ミラー: バンダースナッチ』のほかにも、ゲームを原作としたオリジナルコンテンツを多数配信している。こうしたなか、Netflixニュース専門メディア『NETFLIX JUNKIE』は28日付の記事で2021年と2022年に配信される予定のゲームを原作としたオリジナルコンテンツをまとめている。以下にその一部を紹介する。

・2017年にリリースされた2Dアクションゲーム『Cuphead』をアニメ化した『The Cuphead Show!』は、2021年に配信される予定。子供向けTVアニメーションに分類されているが、大人の視聴者も楽しめるユーモアやギャグが含まれるようだ。

・人気ゲームシリーズのバイオハザードを原作としたアニメ『バイオハザード: インフィニット ダークネス』は、2021年7月8日に配信される(以下の動画も参照)。登場人物はレオン・S・ケネディ、クレア・レッドフィールドである。


・大ヒットスマホゲームのAngry Birdsを原作としたアニメ『Angry Birds: Summer Madness』は2021年に配信予定。サマーキャンプを舞台とした同アニメは、11分 x 40本の構成となる。

・『サイバーパンク2077』を原作としたアニメ『Cyberpunk Edgerunners』は、日本のアニメスタジオであるトリガーが制作する。ゲームとは世界観だけが共通しており、ストーリーはオリジナルなものとなる。2022年に配信の同アニメは10話構成となる予定。

 以上は「ゲームのアニメ化」コンテンツであるが、Netflixがゲームサブスクを提供開始した場合には、オリジナルドラマやアニメのゲーム化も手がけるかも知れない。

StadiaとLunaには厳しい評価

 音楽と動画に続くサブスクサービスとして注目されているゲームサブスクは、現在多くの企業が参入しているものも、市場としてはまだ黎明期にあると見られている。

 Googleもゲームサブスクに参入しており、同社が提供しているのが2019年に発表されたクラウドゲームサービスのStadiaだ(日本はサービス対象外)。同サービスはYouTubeとの連携機能が話題となったものも、大成功しているとは言い難い。テック系メディア『Tom’s guide』が同サービスの現状を特集した25日付の記事によると、Googleは同サービスのプレイヤー数を発表していないが、入手が困難なPS5のプレイヤー数の4分の1程度だと推定されている。

 AmazonもクラウドゲームサービスのLunaを提供している。しかし、このサービスも成功とはほど遠いようだ。ゲームメディア『GAMERANT』は13日に「AmazonのLunaは次のStadiaになってしまうのか?」というタイトルの記事を公開した。タイトルが示すように、この記事ではStadiaはもはや失敗したサービスと見なしたうえで、Lunaも同じ道をたどる可能性が極めて高いと結論づけている。

 以上のようにゲームサブスクへの参入は大手テック系企業でも苦戦しており、「ゲームサブスクのNetflix」とでも呼ばれるような画期的な成功を収めた企業がいまだ現れていない。それゆえ、ゲームサブスクのNetflixは他ならぬNetflixがその座を占める可能性も十分にあるだろう。

■吉本幸記
テクノロジー系記事を執筆するフリーライター。VR/AR、AI関連の記事の執筆経験があるほか、テック系企業の動向を考察する記事も執筆している。Twitter:@kohkiyoshi

トップ画像出典:REUTERS「Netflix in search of executive to oversee gaming expansion - source」より画像を抜粋

〈Source〉
https://www.reuters.com/technology/netflix-looking-hire-executive-gaming-expansion-information-2021-05-21/

https://www.polygon.com/22447410/netflix-executive-games-expansion-the-information-report

https://www.axios.com/netflix-gaming-expansion-cde0f3ae-15de-4378-b2b8-fd0aaf0e91f6.html

Video Game Adaptation Shows Coming to Netflix in 2021 or 2022

https://www.tomsguide.com/news/google-stadia-alive-well-really

https://gamerant.com/amazon-luna-google-stadia-game-streaming-library-problems/

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