3Dプリンターで作られた家が誕生 たった5日で1軒の家を“印刷”できる?
オランダの夫婦が、3Dプリンターで作られた家の、ヨーロッパ初の居住者となった。
これは、アイントホーフェン工科大学や、自治体、建築家、および民間企業が共同で進める「プロジェクトマイルストーン」によって建てられたものだ。形状は巨礫(きょれき)に着想を得ているといい、これを従来の方法で建設した場合、高度な技術と多額の費用を要するという。同プロジェクトの計画では、あと4つの3Dプリントハウスを建設予定だ。
この数年、各国の都市部は人口増加によって深刻な住宅不足に陥っている。その打開策として、3Dプリント技術を取り入れた都市計画が米国やフランスなどで進められており、同プロジェクトもまた、3Dコンクリート印刷を持続可能な建設法として確立し、住宅危機を緩和したい考えだ。この方法は、セメントの使用量を減らすことで、コストと環境へのダメージを削減するとして、建設業界からの注目を集めている。
今回建設された3Dプリントハウスは、印刷工場で製造された24個のパーツからできている。各パーツは建築家の設計に従って印刷されており、層を重ねることで強度アップが計られている。出来上がったパーツを建設予定地へと運び、あらかじめ作っておいた家の土台の上で組み立てる。そして屋根と窓のフレームを取り付け、仕上げをして完成だ。
複数のピースをパズルのように組み立てる設計だが、耐久性は十分で、数十年にわたって居住できるようだ。また断熱もされており、通常の家と同様に冷暖房が利用できる。このプロジェクトでは、1軒目で得られた知見が2軒目、3軒目へと活かされ、よりレベルアップしていくのだという。
計画を主導するWeber BeneluxのCEO、バス・ホイスマンズ氏は、「この家を印刷するのに必要な時間は、たった120時間だった。すべてのパーツを一度に印刷したとしたら、5日もかからない。プリンターは食べたり、寝たり、休んだりする必要がないからね。明日から始めても、5日後には次の家ができている」と述べ、「3Dプリントを使用すると、デザインに創造性と柔軟性が生まれる」と付け加えた。
そして「なぜこの"岩”を印刷するのにこんなに努力したのかと言うと、顧客が作りたいと思うどんな形の家でも作ることができると証明するためだ」と自信をのぞかせた。
たった5日で、デザイン性の高い丈夫な家が再現できてしまうのだから驚きだ。まだ居住例がほとんどないため、実用性については要観察だが、それでも住宅不足解決への大きな手がかりとなることは間違いないだろう。
(画像=3DPRINTEDHOUSEより)
■堀口佐知
ガジェット初心者のWebライター兼イラストレーター(自称)。女性向けソーシャルゲームや男性声優関連の記事を多く執筆している。
〈Source〉
https://www.theguardian.com/technology/2021/apr/30/dutch-couple-move-into-europe-first-fully-3d-printed-house-eindhoven
https://www.3dprintedhouse.nl/en/news/5397/images-and-videos/