横浜の脱走ニシキヘビを見つけるのが難しい理由を、パイソン属大発生問題から考えてみた
横浜で脱走したアミメニシキヘビが、世間を賑わせていますね。
近隣に住む方々は、どれほど不安な日々を過ごしていることでしょう。ヘビのためにも、近隣の方々のためにも、早期発見が望まれます。
それにしても、大蛇を捕まえることはどれだけ大変なのでしょうか? すでに多くの識者や実際に大蛇を飼育されているオーナーさんが解説しているように、3.5mといえどとぐろを巻けば小さくなるからとか、隠れるのに適した環境があるからとか、泳いで移動できるからだとかがあげられていますが、「意外と動くのが早い」という要素も加わりそう。
では、今日は、なぜ「意外と動くのが早い」と思ったのかを、フロリダのエバーグレーズで起こっている、アミメニシキヘビと同じパイソン属のビルマニシキヘビ問題や、大蛇に立ち向かう人たちの動画を紹介しながら解説していきたいと思います。
身近な脅威
実は筆者はかつてフロリダのど田舎に住んでおり、アミメニシキヘビよりも太くて重く、時に人間も食べるビルマニシキヘビを身近な脅威として認識していました。
ビルマニシキヘビが大発生している場所としては、エバーグレーズが有名ですが、筆者が住んでいたエリアにもいたらしく、コンクリート鋪装されていない場所には迂闊に足を踏み入れないとか、公園にも出没する可能性があるために小さい子どもから目を離さないとか、車の下を確認をするといったことを、引っ越した当時に地元の人から教えてもらいました(これはビルマニシキヘビだけでなく、アリゲーターにも通じるそうです)。
なぜ東南アジアのヘビがフロリダに?
ビルマニシキヘビは、もともと東南アジアを原産としていますが、1980年代に米国でエキゾチックアニマルのブームが起こり、フロリダのマイアミで多くのヘビが繁殖されるようになりました。ところが、ビルマニシキヘビは数年で大きく成長するため、飼育しきれなくなった飼い主が自然界に放したのです。
追い討ちをかけたのが、1992年8月に発生したカテゴリー5のハリケーン・アンドリュー。大型の嵐が、ニシキヘビの繁殖施設を破壊し、数えきれないほどのヘビが近くの沼に逃げ出してしまったと専門家は言います。
ビルマニシキヘビの繁殖力は高く、メスは1年に50〜100個の卵を産みます。フロリダのジメジメとした気候と、至る所に沼や池があることが原産国に似ていること、さらに天敵がアメリカンアリゲーターくらいしかいないという好条件の元、指数関数的に数を増やしてきました。
生態系に深刻なダメージ。姿を消した動物も
フロリダに生息するビルマニシキヘビの平均サイズは2.5mから3m(最長で8mに成長する可能性も)。
外来生物である上に、哺乳類や鳥類を捕食して在来種の存続を著しく脅かす存在です。
2003年から2011年にかけて、アライグマの目撃情報は99/3%、オポッサムは98.9%、おじろじかは94.1%減少しているそう。また、道路調査では、ボブキャットの個体数が87.3%減少し、ウサギは完全にいなくなってしまったそうです。
ウサギに関しては、実験的に個体群を放す取り組みもしたそうですが、ヘビの捕食率が高すぎたために、失敗に終わったそう。