音楽史の転換点に? ソニーの「360 Reality Audio」が目指すのは原点の“ライブリスニング"

「360 Reality Audio」取材

−−音楽としては、どんなジャンルが相性がいいのでしょうか。

岡崎:EDMなどの電子音楽は相性がいいですね。アーティストも音楽で遊びたいという考えを持っていて、「360 Reality Audio」のテクノロジーを面白がってくれていますね。

−−「360 Reality Audio」のテクニカル面のスペックを教えてください。

澤志:技術的には128トラック(オブジェクト)まで利用可能です。音楽配信ではレベル3/2/1とあって、それぞれオブジェクト数が24/16/10と決まっています。配信事業者によっては、再生するレベルを選べたりもするんです。ビットレートはレベル3で1.5Mbps、レベル2の1Mbps、レベル1で640Mbps。これは現在のスマートフォンの通信回線に併せて設定していて、技術的にはより高音質化も可能となっています。

ーーこれだけ複雑な立体音響の効果をスマホでも体験可能という所が驚きですね。スマホによる音楽アプリでスマホの音楽アプリで、どのような特別な処理が行われているのでしょうか。

岡崎:スマホアプリでオブジェクトをデコードをして空間を認知するHRTF(頭部伝達関数)を使って再生します。360 Reality Audio認定ヘッドホンでは、スマホカメラの写真で耳の形を認識して、クラウドに送ることで、機械学習ベースで推定したHRTFデータをスマホ側にダウンロードします。空間を再現するには、音が耳の形状で反射して起こる音の変化が非常に重要なんです。写真によってその形状を認識して最適なHRTFを推定しダウンロードするのですが、その正確さ、精度を高めていっています。

個人最適化機能(Personalization)

−−「360 Reality Audio」はヘッドホンと専用スピーカーを発表されていますが、それ以外の機器、車載や劇場、PCへの展開は可能でしょうか。

岡崎:車載に関しては相性がいいと思っておりまして、ソニーの電気自動車プロトタイプ「VISION-S」では「360 Reality Audio」対応のオーディオを搭載しています。劇場については、今のところはイメージはしていませんね。PCは可能性はあると思いますが、現在の発表時点ではスマホと専用スピーカーに集中しています。

−−「360 Reality Audio」では、Amazon Music HD、Deezer、nugs.netでの採用を公開されています。それぞれ、どのような楽曲を聴けるのでしょうか。

澤志:全体として約4000曲を聞くことができます。2年前から洋楽で始めておりまして、4月16日から邦楽も加わりました。音源としてはAmazon Music HDとDeezerは同じ曲で、nugs.netは全く別のライブ音源の曲を提供しています。Amazon Music HDでは「3Dミュージック」と銘打って配信されている楽曲で聞いていただければと思います。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる