『スーパーボンバーマン4』はなぜシリーズで異端視される? 暴走するダンシングピエロの狂気
対戦ゲームを友人とプレイする時、実力差がありすぎると冷めてしまうため、“運要素”の塩梅がとても重要だ。その点、『スーパーボンバーマンシリーズ』は実力差があっても獲得するアイテム次第で、ゲームを持っていない人でも善戦できる絶妙な設計になっている。
ただ、シリーズ4作目の『スーパーボンバーマン4』(SFC)の対戦モード(バトルゲーム)は他シリーズとは常軌を逸するほどカオスで印象深い。ここでは本作の何が異端だったのか語りたい。
爆弾を使わずにパワーグローブで投げ落とす
爆弾を持ち上げて遠くに投げ飛ばすアイテム“パワーグローブ”は、『スーパーボンバーマン4』では爆弾だけでなく、他のボンバーマンを投げることができる。この追加ギミックにより、「相手を持ち上げて爆弾の近くに投げ飛ばして倒す」という他シリーズでは見られない斬新な戦術が生まれた。しかし、異端すぎるこのギミックが“ボンバーマン”というゲームの本質を崩壊させる。
対戦モードの「ぷっしゅでぽとん」というステージは、周辺が壁に囲まれていないため、端を進んでいるとウッカリ落下してやられることがある。そのため、このステージでは他のボンバーマンを押すことができるアイテム“プッシュ”を使い、爆死ではなく転落死を狙う展開になりやすい。
とは言え、プッシュで押されても踏ん張ることができ、「壁際でプッシュされた=即死」にはならない。ただ、パワーグローブで持ち上げられ、端に投げ飛ばされた場合は即死してしまう。その結果、“相手を持ち上げること”を狙うことが定石になり、“爆弾で相手を倒す”というボンバーマン要素は姿を消し、もはや違うゲームとしてプレイすることになる。
狂乱の悪魔“ダンシングピエロ”
そして本作では、前作『スーパーボンバーマン3』に登場したルーイに代わり、倒した敵キャラを乗り物できる。そのバリエーションは多彩で、どのキャラもバラエティー豊かな個性を持っていて非常に面白い。
しかし、“ダンシングピエロ”という乗り物の能力があまりに凶暴過ぎて、ゲームのパワーバランスを一気に崩壊させてしまう。ダンシングピエロは口から音符を吐き出し、音符が当たった相手の動きを一定時間封じることができる。相手が動けない間に四方を爆弾で囲んで倒す、という戦術がとても流行った。
一応、音符が進むスピードは早くないため、避けるのは難しくない。ただ、“スピードアップ”で走力を上げていれば、すれ違いざまにゼロ距離で音符をぶつけることができ、唯一の欠点さえも克服できてしまう。このあまりの“壊れ”に、ダンシングピエロを使って勝つと、友人との間に気まずい空気が流れるので、やり過ぎには気を付けなければいけない。