業界全体で1兆円もの損失……Netflixがパスワードの不正共有防止の新機能をテスト中 

 Netflixがパスワードの不正共有を取り締まる新機能をテスト中だ。

 同社の広報担当者は、「このテストは、Netflixのユーザーが不正利用をしていないことを確認するのに役立つよう設計されている」と述べた。同社の利用規約には、「アカウントは世帯以外の人と共有することはできない」と記載されている。しかし実際には、友人、恋人間などでの共有が後を立たず、プラットフォームを悩ませているようだ。

 テストでは、ユーザーがサービスにログインする際、視聴が許可されたユーザーであることを確認するためのポップアップが表示されるという。そしてアカウント所有者にメッセージ、またはメールを送信し、確認を得るよう求められる。許可が確認できない場合、そのユーザーは新しいアカウントを契約するよう忠告される。

 この新機能は現在テスト段階で、限られた一部のユーザーにのみ適用されているようだ。

 米ビジネス系メディア『FOX Business』は、今回同社が規制に乗り出した理由として、「ストリーミングサービスの競争激化」を上げている。

 2016年には、NetflixのCEO、リード・ヘイスティング氏は「パスワードの共有について、大きな問題だとは認識していない」と語っている。ところがこの数年のうちに、AppleTV +、Disney +、Discovery +、HBOMaxなど、有料ストリーミングサービスが大幅に増加した。Netflixのさらなる成長のために、不正共有問題に取り組まざるを得なくなったと『FOX Business』は分析している。

 現に2019年には、同社のチーフプロダクトオフィサー、グレゴリー・ペーター氏が 、決算発表の際に「パスワード共有の防止に重点を置いており、具体的な方法を模索している段階だ」と語っている。

 Netflixだけでなく、多くのストリーミングサービスが、パスワード共有問題に直面している。

 リサーチ会社『ParksAssociates』の分析によると、パスワードの不正共有によって、プラットフォーマーたちは2019年の1年間だけで、91億ドル(約9900億円)の損失を被っているという。そしてこの数字は、2024年までに年間125億ドル(約1兆3600億円)に達すると予測されている。

 だが言い換えれば、この問題はプラットフォーマーにとっての伸びしろであるとも言える。

 今年1月に、世界での有料登録者2億人を突破したNetflix。不正共有問題を解決し、さらなる成長を遂げられるのだろうか。

(画像=Pixabayより)

■堀口佐知
ガジェット初心者のWebライター兼イラストレーター(自称)。女性向けソーシャルゲームや男性声優関連の記事を多く執筆している。

〈Source〉
https://edition.cnn.com/2021/03/11/media/netflix-password-sharing-prevention/index.html
https://www.foxbusiness.com/lifestyle/netflix-password-sharing-crackdown-underway-with-new-test-and-warning

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