時代がキズナアイに追いついた 最新技術で“次元を超えるつながり”見せた2ndライブを振り返る
そして圧巻だったのは、アンコールで実現したバーチャル中田ヤスタカとの共演だ。ここでは中田ヤスタカがバーチャルアバターをまとった姿で登場し、「キズナミ(cover)」と「AIAIAI (feat. 中田ヤスタカ)」を披露。「キズナミ(cover)」では中田ヤスタカがDJ卓に陣取り、後ろでキズナアイとリアルのダンサーが次元を超えてダンスを踊る。「AIAIAI (feat. 中田ヤスタカ)」ではそこに、序盤に登場したバックバンドのメンバーも加わって大所帯のクライマックスへ。最後はデビュー曲のリミックス「Hello, Morning(Pa's Lam System Remix)」をひとりで披露し、世界各国の言葉で最後の挨拶をしながら、「あなたと繋がりたい。キズナアイでした!」と伝えてライブ全編を終えた。
Kizuna AIの活動は、もともと「世界中の人と繋がりたい」という彼女の想いからはじまっている。そして、TV番組やリアルイベント、2019年に本格始動した音楽活動や『Summer Sonic』を筆頭にした夏フェスなど様々な場所に出ていくことで、その言葉を有言実行してきたのが、これまでの道のりだと言えるはず。『Kizuna AI 2nd Live "hello, world 2020"』を観て感じたのは、そうした想いで活動してきた彼女に、時代/価値観の変化や、先端技術の進歩が追いついて、活動開始当初から彼女が本当にやりたかったこと=“次元を超えて様々な人々を繋げるハブになること”が、いよいよ現実のものになってきているということだ。
XR技術を使ったエンターテインメントはまだまだその歴史のはじまりに過ぎず、これから様々なことが可能になっていくだろう。その可能性の一端を見せてくれるような、素晴らしいライブだった。
■杉山 仁
乙女座B型。07年より音楽ライターとして活動を始め、『Hard To Explain』~『CROSSBEAT』編集部を経て、現在はフリーランスのライター/編集者として活動中。2015年より、音楽サイト『CARELESS CRITIC』もはじめました。こちらもチェックしてもらえると嬉しいです。