『Google Stadia』はクラウドゲームとして成功できるのか 鍵はYouTubeとの連携? 

 「PlayStation 5」や「Nintendo Switch」など、ゲームを遊ぶためのゲーム機は物理的なものだったが、近年クラウドの波がゲーム市場にも及んできた。クラウドを活用した新たなゲーム体験は物理的なゲーム機を必要としない。スマートフォンやPCのブラウザを立ち上げれば場所の制約なくハイエンドPCさながらのゲームを体験することができる。『Google Stadia』はそのクラウドゲーミングの一つだ。『Google Stadia』はGoogleが運営するクラウドゲーミングサービスで、その高いグラフィック処理性能やYouTubeとの連携による新しい体験などで注目を浴びた(日本では未定)。

 発表時はゲーム市場に衝撃が走った『Google Stadia』だが、サービス開始後は事業が思うように上手くいかず苦戦しているようだ。『Google Stadia』ではいくつかの無料の小規模タイトルが用意されているものの、最近のゲームを遊ぶ際はフルプライスのソフトを購入する必要がある。「Xbox Game Pass」のような遊び放題のサブスクリプション形式を求めているユーザーからすれば割高に感じ、さらにGoogleの「サービスを立ち上げてからうまくいかなかった際の打ち切りの速さ」には定評があり、新しく始まったばかりのサービスで買い切りはリスクが高い。

 『Google Stadia』には上記以外にもコントローラーで入力した操作が反映されるまでに1秒掛かる、といった技術的な問題もある。高いグラフィックスを再現できたとしても、快適に遊ぶことはできるとはいえないとなると、やはりハードルが高くなってしまう。

 『Google Stadia』を快適に遊ぶためには、要求される回線速度を満たす必要があるが、その条件を満たす地域が少ないという問題もある。条件を満たしていてもアパートなどの集合住宅地であれば時間によって回線が不安定になったりと、環境に左右されやすい。これから先、5Gが普及すればどのような地域であっても快適に遊べるのかもしれないが、現状のサービスエリアマップを見ると程遠い。

 そんな中さらなる不幸なニュースが届いた。「Stadia」専用ゲームの開発を中止し、開発チームは解散するというニュースだ。任天堂は『スーパーマリオブラザーズ』のマリオ、SONYは『God of War』のクレイトス、Microsoftは『HALO』のマスターチーフなど、ゲーム市場の大手三社には自社IPが存在している。Googleはそんな自社の看板となるIPのゲーム開発を中止した。

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