2020年、YouTube総再生数1位の新星「じゅんや.Junya」って何者? 世界基準の“体を張ったスタイル”に注目

なんだかんだでSNSの流行を掴んだ投稿

 バカバカしいネタをあくまで自分流で量産しているようにみえるじゅんやだが、なんだかんだで流行を掴み、それにうまく乗る投稿もしている。

 下記動画ではひたすら「Avocados from Mexico」と歌っているが、これはここ最近TikTokでなぜか流行しているアボカドのCMソングだ。このフレーズをネタに使う人が多い中、しっかり自分の独自のネタにも挟んでいるところから、トレンドをしっかりチェックし波に乗りに行っていることがわかる。

@junya1gou

Scotch tape Challenge セロハンテープチャレンジ


♬ オリジナル楽曲 - Junya/じゅんや

 それ以外にも、TikTok上でトレンドになっている海外のBGMはすべて自分が歌う形で取り入れている。歌詞があまりわからない様子で適当に歌っているのも滑稽なようで、外国語のコメントでは歌詞を正したり続きのフレーズを書いているものも多い。

@junya1gou

HOODIE CHALLENGE パーカーチャレンジ

♬ オリジナル楽曲 - Junya/じゅんや

 オリジナルなネタの中にも少しずつ、皆が知っているトレンド要素を入れているのも、彼が視聴者を飽きさせずに楽しくみられる工夫だろう。

テレビではもうなかなか見られない、体を張ったバカバカしい芸

 痛そうなことに積極的に挑戦し、オーバーなリアクションで笑わせる、そんなじゅんやの芸がここまで人気を得た理由をいくつか考察してきた。シンプルで言葉がいらず、何度も同じことを繰り返す。少しずつトレンドを差し込みながら、ダチョウ倶楽部のように「お決まり」の流れにしていく。ここで何よりも興味深いのは、こうしたネタが、テレビでは以前ほど見られなくなっているという点だ。

 テレビ業界では、「第七世代は体を張らない」とよく言われているという。たしかに、バラエティを席巻しているお笑い第七世代は、どちらかというと体を張るよりも、トークや視点の面白さ、キャラクターの魅力で勝負しているように見える。ドリフターズから始まり、ダチョウ倶楽部や出川哲郎のリアクション芸、ハイキングウォーキングやくまだまさしのくだらないネタ、ロッチ中岡やパンサーのようにバラエティ番組で体を張る演出……いまの流行の芸人たちは、そのような芸とは異なるスタイルで売れている。

 実際、じゅんやのような芸をいまのテレビで行うと、子供が真似するため危険だといって批判されてしまうかもしれない。時代の流れもありテレビがどんどんスマートになっている中で、その流れに逆行したくだらないネタを投稿しているからこそ、人気が出たという側面もあるだろう。結局、わかりやすい流れ、リアクション、体を張ったネタに、若者たちは普遍的に笑ってしまうものなのかもしれない。

 「あるあるネタ」や「ものまね」などの共感を集めるひねりのきいたネタや、画面映えする美男美女やインパクトのある映像が流行しやすいTikTokやYouTube。そんな中、他とは一線を画すスタイルを貫くじゅんやが年間1位に躍り出た事実は、なんとも興味深い。

■桂木きえ
東大卒YouTubeコラムニスト。92年東京生まれ。会社員ながらもYouTuberが好きすぎて副業ライターとして執筆。YouTube、TikTokなどの動画メディアとインフルエンサーについて考察する。

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