『サルゲッチュ』が”ちょっと怖い”ワケ:「デュアルショック」のチュートリアルが生んだ狂気の世界

 ハカセがこのようなマッドサイエンティストと化してしまったのは、やはり今作が「デュアルショックのチュートリアル」であることが関係しているだろう。つまり、作中で「ガチャメカの操作説明やステージ攻略のアドバイス」を行うことが、すなわち「デュアルショックのチュートリアル」でもあり、それを担当していたのがハカセだったというわけだ。

 「プレイヤーにデュアルショックを体験してもらうために、『サルゲッチュ』をプレイさせる」という製作陣の意図は、作中では「カケルにガチャメカを操作してもらう(=プレイヤーにデュアルショックを体験してもらう)ために、ピポサルたちの世界征服(=『サルゲッチュ』)がある」というハカセの意図と相似を為しているために、彼の人格は破綻してしまった(ようにみえる)のだ。

 ちなみに本作には、ハカセ以外にもヒロキとナツミという人間キャラクターが登場する。しかしヒロキは終盤までスペクターに操られており、ナツミに関してはハカセのサポート役という以上の存在意義はほぼない上に、スペクターにさらわれた彼女をカケルが助けると「なぜもっと早く助けてくれなかったのか」となぜか逆ギレする。要するにこの二人も人格破綻者である。

 つまるところ「人類を救うための冒険といいながら、まともな人間がいないじゃないか」という理不尽さを抱えているのが『サルゲッチュ』という作品だ(ちなみに唯一まともに会話できる存在としてチャルというキャラクターはいるが、彼女はAIである)。理性的に会話できる協力者が不在のまま、恐竜の時代や氷河期の時代を命がけで冒険し、なぜかサルたちをたくさん捕まえなければならない。そんな孤独と狂気にまみれた雰囲気がコミカルな世界観と絶妙にマッチし、妙に心に残り続ける作品である。

 ちなみに筆者は本作に連なる『サルゲッチュ2』『サルゲッチュ3』『サルゲッチュ ミリオンモンキーズ』のいわゆる「本編」シリーズに加えて、『ガチャメカスタジアム サルバト〜レ』をはじめとする外伝作品もいくつかプレイしている。ピポサルたちの狂気に魅了され、病みつきになってしまったプレイヤーの一人である。

(画像=https://www.jp.playstation.com/software/title/scps10091.htmlより)

■徳田要太
フリー(ほぼゲーム)ライター。『スマブラ』ではクロム使いで日課はカラオケ。NiziUのリク推し。Twitter

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