『サイバーパンク2077』とサイバーパンクジャンルの歴史

『サイバーパンク2077』とサイバーパンクジャンルの歴史

80年代のサイバーパンク-アナログからデジタルへ

 『ブレードランナー』のモデルとなったフィリップ・K・ディックの代表作品『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』は1968 年、ニューウェーブ運動の渦中に発表された。サイバネティックスやAIの意識の存在の倫理やモラルについて模索した今作品は「リアリストSF」と呼ばれ、ニューウェーブの中でも特にテクノロジーとAI、そしてそれらの背景にある哲学的な面にフォーカスした新しい分野を開拓した。

 そして1980年代に入り、ウィリアム・ギブソンの小説『ニューロマンサー』で確立されたのが、先日リリースされた『サイバーパンク2077』に代表される近未来像だ。たくさんのネオンのサインと高層ビルに囲まれた、人工的な80年代当時の日本の街並みは『ニューロマンサー』の舞台となる「ナイトシティ」のモデルであり、ゲーム『サイバーパンク2077』のカルフォリニアに設置された仮想都市ナイトシティにも影響を与えている。

 『サイバーパンク2077』のベースとなっている『サイバーパンク』は、元々テーブルトークRPGとして1988年にアメリカの出版社Talsorian Gamesから発売された。ゲーム作家のポンドスミスは、30年以上も前に自分が作成したゲームが『サイバーパンク2077』へと発展するとは思ってもみなかった、と話している。ポンドスミスのオリジナルの『サイバーパンク』に大学時代にハマったというCD Projekt Redの5人の開発者たちは、どうにかしてこの作品を今の時代に合う形で発展させようとした。

 サイバーパンクを代表するディストピアと裏腹に、元祖『サイバーパンク』や『サイバーパンク2077』はその世界の中でどうしたらより良い社会を実現できるかを模索し続ける主人公たちの物語だ。そこで悲観的になり諦めるのではなく、大きな力と戦い続ける、それはテクノロジーや権力を卓越した本当の意味での自由の追求に繋がっていく、とポンドスミスは話している。このビジョンがゲームを通して、2020年代の世界に希望と可能性を与えることになるのかもしれない。

■mugiho
ニュージーランドの大学でマオリ文化の発展・都市計画・教育について学びながら映画、テック、文化芸術について執筆するフリーライターと翻訳家。人間観察をしながらたまにそれらについて書いたり撮ったりしている。

〈Source〉
https://twitter.com/CyberpunkGame/status/1338390123373801472
https://www.pcgamer.com/the-more-time-i-spend-in-cyberpunk-2077s-world-the-less-i-believe-in-it/
https://www.polygon.com/features/2018/8/30/17796680/cyberpunk-2077-history-blade-runner-neuromancer
https://www.britannica.com/art/cyberpunk
https://techcrunch.com/2020/12/07/cyberpunk-2077-a-retro-futuristic-fantasy-with-huge-potential-if-you-can-ignore-the-cyberjank/
https://www.polygon.com/2020/12/11/22170468/cyberpunk-2077-sales-revenue-cd-projekt
https://www.ft.com/content/a9e5e7ae-ed28-4528-91b1-82e8c2abffa2
https://www.wired.com/story/cyberpunk-mike-pondsmith-interview/
https://www.4gamer.net/games/423/G042332/20200907074/
http://web.mit.edu/m-i-t/science_fiction/jenkins/jenkins_5.html

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