考古学研究はAIの台頭で前進、それとも後退する?

考古学研究はAIの台頭で前進、それとも後退する?

 AIの台頭により、歴史学の分野にも変革の波が押し寄せている。

 英リバプール大学の考古学者マシュー・グローブ博士はAIを駆使して、アフリカ東部で中石器時代に使用されていた石器と後期石器時代の石器を94パーセントの精度で見分けることが可能だと発表。その研究内容の詳細は2020年8月26日、米科学誌「PLOS ONE」の電子版に掲載された。

 この地球上にはかつて、動物の骨などの材料で作った石器を使って狩猟・採集生活をしていた石器時代があった。日本国内では打製石器が使用されていた時代を旧石器時代、磨製石器が使われた時代を新石器時代(縄文時代)と呼んでいるが、厳密に言うと石器時代に対するこうした時代区分は明確ではない。

 また、スペインの考古学グループでもAIを活用した研究が進められている。人間の進化に関する国立調査センター(CENIEH)に所属する考古学者らは、AIを用いてネアンデルタール人が住処としていたピニージャ・デル・パジェの岩石壕の中を探査。当時のネアンデルタール人が中型の動物の骨髄をしゃぶりながら生活していたことを突き止めている。その研究内容の詳細は、2020年1月22日、考古学専門誌「Archaeological and Anthropological Sciences」の電子版に報告された。

 考古学研究におけるAIの使用は主に雑用業務にとどまっている。しかしながら、CENIEHの研究者らは特に遺跡での骨の破損の原因究明に対して有用であるとして、考古学研究におけるAIの潜在性に関して高く評価しており、この先AIが考古学研究においても優位な役割を発揮することになることは確かだろう。

 さらに、かつてメソポタミア文明が栄えていたイスラエルでも現在、歴史の痕跡を探る大規模プロジェクトが進行している。イスラエルのアリエル大学およびバル=イラン大学の研究グループは、AIが持つ予測特性を活かすことで、今から2500年前にバビロンやアッシリアを中心とする古代メソポタミアの地で話され、今は消滅してしまった言語であるアッカド語を復元可能であることに着目。研究者らはアッカド語の学習機会を提供したり、あるいは古代文書を保存したりといった面でAIを有効活用できると見込んでいる。

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