真鍋大度が振り返る自身の2020年 Perfumeやムロツヨシなど、コロナ禍でも「エンタメの灯を絶やさず」続けたアクション
パリコレやユニクロの事例 MIKIKOとのコラボは驚異的
7月に入ると、少しづつ準備してたものが出せるようになった。「Messaging Mask」のデモも、このタイミングでしか考えないことだろうと思う。客を入れてライブをやることになる時期が来ても、声を上げられるようになるのは当面先のことのはずなので、マスクの中にマイクを仕込んだ。そのマイクで話したことを解析してARでメッセージを出したり、スピーカーからそのメッセージを読み上げたりといった仕組み。面白いのは、これは話さなくても可能で、ささやき声だけでも解析ができる。これはもう少ししたら違うバージョンもできる。エンタメを盛り上げる仕組みを探ろうとしてやっている。
パリコレの『White Mountaineering』もオンラインでやることが決まった。映像を作るといってもブランド紹介ムービーみたいなのでは仕方がないし、リアルタイムで配信することは仕組み上、ルール上できなくて、映像納品が基本な中で何ができるかということで、普段のショーではできないような映像の作り方をした。『White Mountaineering』のパターンの作り方が特徴的で、それをモチーフとしてグラフィックを作ったり、切れ目にCGを入れたりとかした。なかなか普段のショーだとできないようなことだと思った。
9月になってもヨーロッパは、全てオンラインのイベントだった。そんな中でも発表をお願いされることが多かったので、『“morphchore”for Sonar Barcelona』ではレクチャーパフォーマンスを作った。Shingo OkamotoがダンスでMIKIKOが監修。頭の中でイメージしただけで、ダンスや振り付けができるようになったら、どんなのができるだろうという想定のもとで作った。これは実際にはできていないが、コンセプトとしてできたらどうなるのかということを考えた。
またMIKIKOのELEVENPLAYと制作した「S . P . A . C . E .」も、こんな時だからということでBlackmagic Designが開発した12Kのカメラを使った。ダンサーたちは離れて踊っているが、機械学習のポーズ解析を使って1つの場所で踊っているように見せるような作品。もちろん合成の時に、単純に長方形をキープしたたけではなく、全員がユニゾンで踊っていて、ダンスの精度が高いので、三角形に分割しても1人のダンサーが踊っているように見えるとか、結構驚異的。ダンサーのスキルがないとできない、特殊なカメラがないと撮れない、機械学習の技術がないとポーズを特定できない。人力でやろうとすると大変なことになる。
10月のユニクロの「ThermoArt」も、こういう時でないとやらないだろうというプロジェクト。サーモカメラが街中に設置されているが、それで取っているデータが折角あるんだから、それを使って何か面白いこと、何か楽しいことができないかとお願いされた。結構サーモのデータは生々しいので、取られるのが嫌というのもあるかもしれないが、逆に取られることでグラフィックが生成される仕組みを作った。今回この「ThermoArt」のWEBCMのために作ったが、最終的に街中でも発表できたらいいなと思っている。
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最後に真鍋は「12月12日に坂本龍一さんのライブ演出を行う。これもリアルのスペースにお客さんを入れてできたらいいなと思うが、配信でやる」とアナウンス。それから「このトークも会場で話せたらスゴくいいなと思うが、そうもいかずオンラインで、ライゾマのスタジオで1人で黙々と話している。どうしてもオンラインでやらなきゃいけないものがたくさんあるが、それでもエンタメの灯火を絶やすわけにはいかないので、これからも色々なアーティストのお手伝いをしていく」と、講演を終えた。
■真狩祐志
東京国際アニメフェア2010シンポジウム「個人発アニメーションの15年史/相互越境による新たな視点」(企画)、「激変!アニメーション環境 平成30年史+1」(著書)など。