Spotifyの新プロモ機能は”アーティストフレンドリー”か? メリットとデメリットからその価値を考える

 Spotifyの説明によると、この機能は、アーティストやレーベルに対して、特定の楽曲へのリスナーの誘導を保証するものではなく、あくまでリスナーの傾向とマッチした楽曲のみがレコメンドされやすくなるものだという。つまり、強制的にプロモーション曲を不特定多数のリスナーに聴かせて再生数を稼ぐBot的なものではなく、リスナーが聴きたいと思うような楽曲だけがマッチする仕組みということだ。そのため、プロモーションによってレコメンドされた曲に対するリスナーの反応が良ければ、別の機会に自動再生やラジオで音楽を聴く場合にも継続してレコメンドされるが、反応が悪ければプロモーションは打ち切られるという。

 とはいえ、TikTok経由でヒットし、リスニング需要が高まっている最中の曲を通常より低いロイヤリティー・レートでプロモーションさせることは、傍目にはSpotifyが勝ち馬にタダ乗りできる、同社にのみメリットがあるシステムに見えてしまう部分はたしかにある。

 しかしながら、先述のように導入の趣旨としては”アーティストフレンドリー”なものであるだけに、この機能によってもたらされる利益がアーティストらに対して、より公正に再分配されるものであれば支持も得られやすくなるはすだ。そうなれば、ミュージシャンも積極的に導入するようになり、ひいてはSpotifyがこの機能で目指す”アーティストが新しいリスナーとつながる機会を増やす”ことにもつながるのではないだろうか。ユーザーからのフィードバックによる、今後の調整が気になるところだ。

(画像=Pikrepoより)

■Jun Fukunaga
音楽、映画を中心にフードや生活雑貨まで幅広く執筆する雑食性フリーランスライター。DJと音楽制作も少々。
Twitter:@LadyCitizen69

〈Source〉
https://newsroom.spotify.com/2020-11-02/amplifying-artist-input-in-your-personalized-recommendations/
https://techcrunch.com/2020/11/02/spotify-will-now-allow-artists-and-labels-promote-tracks-in-your-recommendations/
https://www.unionofmusicians.org/justice-at-spotify

関連記事