GAFA解体をめぐる議論が激化、欧州ではどうなる?
アメリカ議会下院司法委員会・反トラスト小委員会は、テクノロジー大手企業GAFAが市場を独占している可能性を調査し、解体されるべきだとの立場だ。テック業界の運命は、だれが次期アメリカ大統領になるかにも左右されると言われている。
ヨーロッパでも大きな影響力を持つ、これらの米テック大手に対しては、EUがデータ保護や租税回避等に関して目を光らせて締め付けを強めているが、さらに踏み込んだGAFA解体論については、行政担当者の間でも、意見が割れているようだ。
デジタルサービス法の策定で欧州委員会は紛糾
欧州委員会は、デジタルサービス法の策定作業を進めているが、欧州連合(EU)域内市場を担当する欧州委員会のティエリー・ブルトン委員(フランス)は、GAFA解体論の急先鋒だ。一方で、欧州委員会で競争政策を担当するマルグレーテ・ベステアー委員(デンマーク)は、解体には慎重な姿勢を見せ、対立している。
EU内のテクノロジー業界の規制のありかたについて議論が盛んになっているが、ベステアー委員は、現行のEU法で大手ハイテク企業の解体を強制的に実行することは可能としながら、それは意図しない様々な結果を招きかねないと警鐘を鳴らす。その懸念の一つが、欧州の規制当局とテック企業の間で法廷闘争が泥沼化することだ。
「これは今回の法律制定に盛り込むべきではないと思います。実際にどのように機能するか確信に至る必要があるため、この種の対策には十分注意する必要があります。非常に長期におよぶ法廷闘争で、がんじがらめになるでしょう。まずは、プラットフォームでこれらの方策を試すことが重要です」とベステアー氏は『The Information』に述べている。
ベステアー委員は、解体の代わりにハイテク大手企業が支配的な立場を乱用できないように設計された厳しい規制の導入を支持している。
このデジタルサービス法では、競合他社とのデータ共有、自社のアプリやサービスを優先しないことの義務化といった大規模なテクノロジー規制が実施されることが有力視されている。