山田裕貴が語るフライングドラマ『頼田朝日の方程式』の“異端さ” 「地上波ではこっちは流せない(笑)」

山田裕貴に聞く『頼田朝日の方程式』

 10月31日より放送がスタートした、テレビ朝日系ドラマ『先生を消す方程式。』。第一話の終了とともに、同作の“フライングドラマ”『頼田朝日の方程式。-最凶の授業-』が、ABEMAプレミアムにて配信を開始した。

 スピンオフ作品ではなく、“フライングドラマ”と銘打たれた同作は、『先生を消す方程式。』で副担任を務める頼田朝日が主人公となり、本編の物語とリンクしながら、隠された謎や真実に繋がるヒントを、本編より先にフライングして解明していくという異端の作品となっている。今回は同作の配信に先駆けて合同インタビューとして実施された、頼田朝日役の山田裕貴が語った撮影秘話から、そんな怪作の一端を解明してみたい。(編集部)

「ブッ飛んでいるキャラクターなので、それを観るだけでも楽しい」

ーー本編とフライングドラマの役どころの違いは?

山田裕貴(以下、山田):(田中)圭さん演じる義澤先生が担任で、それを支える副担任ではあるんですけど、ドラマにはいろんな設定があって。1話を観てもらえれば分かるんですが、「これ、もしや朝日が黒幕なのか?」みたいなところが明らかになります。加えて、朝日は生徒たちをコントロールして動かそうとする悪の権化みたいな人だと僕は思ってます(笑)。上手く生徒たちを転がし、あの手この手を使い、先生を消していこうとする役。フライングドラマの方では、悪を育てる先生という感覚で授業が行われていって。さっきも撮ってたんですけど、「地上波ではこっちは流せないよね(笑)」って、それほどによくない教えを繰り広げてるので。あとは、やっぱりブッ飛んでいるキャラクターなので、それだけでも観ていて楽しいと思います。

ーー撮影を拝見していて、何度も爆笑するのを抑えてました(笑)。

山田:よかったです(笑)。フライングドラマでは、本編の最終話が終わってからが描かれているんです。義澤先生が授業をしていた裏で、その日学校が終わったあとに、朝日が思っていたことを一人で動画に撮って、「今日の授業最悪だったよね」っていうストーリーなので。フライングドラマも観ながら考察してもらった方が面白いと思いますね。

ーー「悪の権化」や「ブッ飛んでいる」という発言があった一方で、爆笑するのを抑えていたという感想もあったり、そこが鈴木おさむさんの脚本が滲んでいる部分かなと感じます。山田さんが特に“狂っている”と感じた部分はどこにありましたか?

山田:意図が見えるというか。書いてある記号が「〜」こんなにいる? ってくらいにあったり、「!」マークが多かったりして、強調してほしいんだろうなというのが伝わってくるんです。そのうえで脚本に負けないように、「冒頭部分を盛り上げておいたら後々の話に効くんだろう」なんてアイデアを足していったりして、コラボレーションしている感覚でやれるのが楽しいです。(おさむさんに)僕からも連絡させていただいて、「任せたよ」と言ってくださっているので、台本にはない部分を自分が思いついたらどんどんやっているし、朝日のキャラクターは特に、現場で生まれるものがいっぱいありますね。もちろん、鈴木おさむさんの脚本をやっていても楽しいんですけど、僕は自分のやる意味を探しちゃうタイプなので、自分だからこそやれる朝日を探しつつ、おさむさんの脚本に乗っかりながら、演じている感覚です。おさむさんの「スピンオフって形じゃなく、1本のドラマとして作りたいんだ」という思いも受け取りながら、本編に加えてフライングドラマの8話、全16話のドラマだと思って挑んでいます。

ーーアドリブはどのくらい入れているんですか?

山田:毎話、絶対にあると思います。

ーー自分なりの解釈で入れていく?

山田:はい。「疼くな~~~!」っていうセリフがあるんですよ。頭を振ったら人格が変わってるという、すごく難しいことをやろうと思っちゃったから、やったんですけど(笑)。上手くできてるか分からないですけど、印象的なワードを意識してますね。

ーーそれは山田さんが入れたアドリブ?

山田:書いてはなかったです。「傷が疼く」っていうのだけは書いてあったんですけど、やりながら違う人に変わってる、という風にしました。それは本当に人格が変わってるのかどうかは定かではなくて、それさえも嘘かもしれない、というのが朝日の面白さですね。生徒を恐怖させるためにその時だけやってる可能性もあるし、何が本当か分からない。あとはいろんな方言を喋るとか。今のところ、広島と福岡と大阪で出身地を明かさない遊びをやっていて、「急になに言うとーと?」とか言い出したり。だから、最後の最後まで「こいつ何だったんだ?」って。ただ、悪の塊だったで終わらせたいなと思っているので、そういったところが僕の面白く遊んでる部分かなと思います。

ーーフライングドラマには、山田さんの役者人生の中でも一番長い量のセリフがあります。

山田:舞台だったら分かりますけど、あんなのは見たことないです。だって今日、20ページ一人で喋ってるんですよ。やれます?

ーー絶対できないです。

山田:それを1週間前に渡されて。絶対にできないことを僕はやっています。

一同:ははははは(笑)。

山田:毎日台本との格闘で、本編も多いんですよ。最初の方は義澤先生が多いかなっていう感じなんですけど、どんどん僕の方も喋る量が多くなっていって、なんなら同じくらい喋ってるので。あそこまでドラマでバーッと喋ってることもないのかなってくらい。形式としてはオリラジの中田(敦彦)さんのYouTube大学の超悪バージョンみたいな。大好きなので、見といてよかったなと思って。

ーー膨大なセリフに対して、どうやってモチベーションをもっていくんですか?

山田:出来ないって思われたくない、ただそれだけですね。「山田裕貴ならやってくれそうだな」みたいな。そこは諦めたくないというか、クオリティも落としたくないし。それはおさむさんの「力を貸してね」っていう言葉もあったり、ただのスピンオフにしたくないからとか。スタッフのみなさんもサポートしてくれているので面白くしたい。「あぁ、ここまでか」と思われたくない、というのが一番ですかね。

ーー本編とフライングドラマとでは同じ役柄ですけど、演技の振り幅の差が、特に本編の1話ではすごく出ているなと。役作りで意識していることは?

山田:すっごい緻密です。めちゃくちゃ計算してます。声色とか表情もそうだし、目線を動かしてから動くのか、セリフを発してから動くのかとか、そういったことまで考えています。案外、見た目よりも、めちゃくちゃ頭を使うので、よりしんどいですね。でも、しんどい時って、すごいいいものが出るんですよ。余裕でやってるよりかは、こぼれ出る表情だったり、声色だったりだとか。そういったものが滲み出てたらいいなと思いますし、フライングドラマは一人芝居なので飽きさせないために、緩急、抑揚、スピードの速い遅いをふんだんにーーこれで面白いと思ってもらえたら、僕はみなさんをコントロールしているんだと思います。

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