Brave group代表・野口圭登×JJコンビに聞く、“リスタート”の難しさとやりがい

Brave group代表・野口圭登×JJコンビに聞く、“リスタート”の難しさとやりがい

 「ゲーム部プロジェクト」を始めとする多くの人気VTuberチャンネルを手がけ、この6月に「Unlimited」から社名変更を行ない、体制を一新した「Brave group」。今回、新たなスタートを切った同社のCEO・野口圭登氏と、3月に日本初となるインフルエンサーによる独立系VC「iFund」を立ち上げた人気YouTuber・JJコンビ(ジロー・ジョージ)の対談が実現した。

 旧知の仲で、お互いに“リスタート”の難しさとやりがいを実感している二組。起業家とYouTubeに見られる共通点から、昨今話題になることが増えたYouTuber/VTuberのマネジメントのあるべき姿、コロナ禍の影響や今後の展望まで、立場を超えてじっくり語り合ってもらった。(編集部)

【記事の最後に、JJコンビのサイン入りチェキプレゼントあり】

「起業家とYouTuberの資質って、似ている部分がある」(ジョージ)

――野口さんとJJコンビのお二人はもともと交流があるそうですが、どんなタイミングで出会ったのでしょうか?

野口圭登(以下、野口):出会ったのは昨年、元FiNC社長の溝口勇児さんの呼びかけで、プロバスケットボール(B.LEAGUE)の試合を観に、香川に行ったときですね。誰が来るのか聞かされていなかったのですが、行ってみたらJJコンビのお二人がいらっしゃって。

ジョージ:僕らも2日くらい前に誘われたんですよ。「香川行くっしょ?」って(笑)。

ジロー: 一緒にモーニングも食べましたね。

野口:僕からすると、本当に芸能人に会った感覚で。ただ話してみたら同世代だということがわかって、意気投合したというか。

ジョージ:同い年なのに、貫禄ありすぎだろ!って(笑)。

野口:YouTuberやインフルエンサーの方って、ツンツンしているのかな、という勝手なイメージがあったんですよね。でも、実際に話してみたら二人とも物腰が柔らかくて、とても親しく接してくれました。

ジョージ:これまでいろんな起業家の方にお会いしてきたんですけど、野口さんはそのなかでも飛び抜けて面白かったんですよ。それと、逆に僕らも、起業家ってツンツンしていて怖いんじゃないか、と思っていましたからね。

ジロー:もともとビジネスや起業というものに興味があったなかで、野口さんはすごい結果を残しているのに、僕らの話も親身になって聞いてくれて。よく「一緒に何かやろう」と言ってくれるんですよ。

ジョージ:“やろうやろう詐欺”も多いけどね(笑)。

野口:アイデアが浮かぶと、つい盛り上がってしまって(笑)。そもそも、共通の投資先も何社かあって、間接的に支援し合っていたような関係でもあり、一緒に仕事ができればうれしいなと思っていたんです。プライベートも一緒に楽しめて、仕事も一緒にできる関係って、貴重ですからね。

――さて、6月にUnlimited から「Brave group」に社名変更され、今回は新たなスタートを切った中での対談となります。まずは野口さんから、社名と体制を一新した理由を聞かせてください。

野口:僕らはこれまで10億円以上の資金調達をしてきて、「VTuber」という業界のなかでは、飛ぶ鳥を落とす勢いでコンテンツを制作してきました。また、IPを自社で作ることも含め、独自路線でやってきたので、社内の体制も独自のものになっていました。そのなかで、昨年4月に「ゲーム部プロジェクト」の炎上があり、声優さん、演者さんに対してハードワークを要求してしまっていたこと、ファンの皆様を悲しませてしまったこと、また従業員に対しても、この会社に所属していることを誇れないような状況にしてしまったことなど、会社として大きく反省をしました。また、社を挙げて改善しなければいけない問題として、昨年から、演者さんに負荷がかからないよう、制作体制の見直しを進め、今後も変わっていくんだ、という姿勢を演者さんにお伝えしています。素晴らしいコンテンツを作ってくれている従業員にもあらためて胸を張って仕事をしてもらえるように、資金調達と体制変更をするタイミングで、社名変更を考えました。そのなかで、今後も新しいIP、新しい事業を切り開いていくという決意も込めて、「勇者、勇敢、勇気」のような意味を持つ「Brave」という言葉を使うことにしたんです。


――JJコンビのお二人も、100万人を超えるチャンネル登録者を抱えていた「カリスマブラザーズ」の解散以降、再スタートの難しさや、楽しさを感じていると思います。

ジョージ:再スタートって本当にめちゃくちゃ難しくて、過去に作り上げたものを引っ張り続けても仕方がないし、エネルギーは使うけれど、過去は過去として前に進むことが大事なんですよね。僕らは登録者が100万人いたチャンネルから、もう一度ゼロに戻ったので、とにかくがむしゃらに動き続けているところです。

ジロー:僕らも大きな改革が必要だと思って、カリスマブラザーズを解散して新しい道に進んだわけですし、野口さんの決断には共感しますね。

ジョージ:僕らはいま、面白い動画を作っている自信があるんですけど、過去を引きずらずに前に進むためには、自分たちのマインドセットもリセットしなければいけなくて。ゼロから始めるというときに、二人で「YouTubeって、そもそも何なんだっけ?」という話をして。そこでジローが、「YouTubeは“主張の場”だろ」って言ったんですよ。言いたいことが言える場所だったし、「これオモロ!」と思った瞬間に動画を撮って上げていたのがYouTubeで。そこでクリエイターに発信力が生まれて、成長していったのがYouTubeだったと思うんですけど、いまはその上に企画、コンテンツが乗りすぎていて、僕らは主張することを忘れてしまっていたというか。だから、今後は原点回帰という意味も含めて、もっと主張していこうと。炎上するかもしれないですけど(笑)。

――一方で、JJコンビのお二人は独立系VC「iFund」を立ち上げるなど、ビジネスの分野にも活躍の場を広げています。野口さんから見て、ビジネスパーソンとしてのジョージさん、ジローさんはどんな印象ですか?

野口:芸能人やインフルエンサー、YouTuberという方々は、自分のフォロワーさんに対して事業をする人が多いと思うんです。グッズを販売したり、ブランドを立ち上げたり、ということですね。ところが二人は、ベンチャーキャピタル、ファンドをやるという。海外であれば、ハリウッドスターであるウィル・スミスの例(2018年に本田圭佑氏と「Dreamers Fund」を設立)がありますが、日本のタレントで、これまでそんな人はいませんでした。

ジョージ:ウィル・スミス級の器だったということですね(笑)。

野口:自分たちにファンがいるにもかかわらず、起業家を裏から支える側に回る、という決断はなかなかできることではなくて。起業家側からすると、JJコンビのようなインフルエンサーが協力して宣伝してくれるというのはものすごいインセンティブですし、何よりiFundの投資先が素晴らしいんですよ。目利きというか、その学習スピードが本当に速くて、「もともとやってたんじゃない?」と思うくらいです。

ジロー:いつも野口先生に教えてもらっているので(笑)。

野口:いや、いくつか「一緒にどうですか?」と提案しているんですけど、ちゃんと断られますからね(笑)。僕もそうでしたが、特に最初は経験者の意見を聞きがちなのに、すでに自分たちの考えがしっかりあるのがすごいと思います。

ジロー:自分たち自身がインフルエンサーとしてやってきて、かつUUUMというインフルエンサーマーケティングのトップに所属させてもらって、上場する企業の空気というものをすぐそばで体験させてもらったことが大きいですね。


――iFundでは、投資先はどんな基準で選んでいるのでしょうか?

ジョージ:起業家とYouTuberの資質って、似ている部分があると思うんです。続ける努力と、質を高めていく努力の両方ができて、アナリティクスできちんと数字を見ることができる。それは、トップYouTuberも成功する起業家もやっていることだろうと。僕らはトップYouTuberの人たちをよく知っているので、それと同じ雰囲気を持った起業家さんに投資したい、と思うんです。逆に、威勢だけよくて、実際はやるべきことをちゃんとやらない、という人もすぐにわかりますから。

野口:確かに、起業家とYouTuberには通じるところがありますね。続ける努力、改善の努力もそうですが、変化に素早く対応できることも重要で。特に、お二人は主にプレシード〜シード期のスタートアップ企業に出資をしていて、その意味で実績ではなく「人」を見ることができるのが強いと思います。すぐにうまくいかなかったとしても、やる人は事業を変えてもやり続け、結果を出しますから。

ジョージ:YouTuberでいうと、人気になるクリエイターは「結局、こいつは動画が好きなんだな」と思うし、起業家の方も「自分の事業がめちゃくちゃ好きなんだな」と伝わる人に投資しようと。例えば、1時間も2時間も自分の事業について熱く語っていられる人は、「この人はやるんだろうな」と思いますし、事業プランがきれいに整っていることより、その熱量の方を大事にしていますね。

ジロー:5年くらいYouTubeをやってきて、「自分もYouTuberになりたい」って、アドバイスやコラボを求めてくる人が1000人くらいいたんですけど、そのなかでやりきったのは5人くらいしかいなくて。ただ、その人たちは全員、チャンネル登録100万人を突破しているんですよね。

――野口さんも、継続することの重要性は感じていますか。

野口:そうですね。僕自身、「PetFilm(ペットフィルム)」という動物の動画紹介サービスを運営していたのですが、そこにたどり着くまでに、7〜8回くらいピボット(路線変更)しましたから。社会に対して意味のあるアイデアがあるなら、形になるまでやり遂げることは重要だと思います。

ジョージ:逆に、「3年間1日も休まず、毎日3本動画を出しているけれど、再生数がまったく伸びない」みたいな人がいるとしたら、ちょっと変えるだけでブレイクするはずなんです。ビジネスにおいても、似たところがあるんじゃないかなって。

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