フィッシャーズ・マサイ、レペゼン地球・ふぉい……YouTuberが動画で“家族の他界”を伝える意味を考える

 人気YouTuberグループ「フィッシャーズ」のサブリーダー・マサイが6月27日、「【報告】お母さんを亡くしました。」と題した動画を投稿した。

【報告】お母さんを亡くしました。

 マサイはこの動画で、1年前に母親が他界していたことを報告。その理由は、例えばメディアに取材を受け、家族の話題になったときに周囲に気を使わせないためであり、また公表より先にどこかで情報が出て、視聴者を心配させてしまうことを避けるため、という配慮だった。フィッシャーズの活動が多忙を極めるなかで、メンバーにも内緒で、腹膜がんという難病を患った母に寄り添い続けていたという。

 筆者がフィッシャーズへのインタビューの機会に恵まれたとき、マサイが発言する前に必ず、ICレコーダーに向かって「マサイです!」と名乗ってくれたことを思い出す。「音源から原稿をまとめるとき、発言者がわかりやすいように」という配慮であり、他のメンバーにも言えることだが、いつでも他人への心配りを忘れない優しさを感じるところだ。母親の他界という、悲しい出来事を伝える動画でも、その真摯な印象は全く変わらなかった。

 動画では、母親から「大好きだよ」という全力の一言をもらい、「ありがとう」と返したのが、最後の会話だと明かされた。マサイにとってこの動画は、自分を取り巻く多くの人への配慮であると同時に、母親へのラブレターだったに違いない。

 一方で、家族で安心して動画を楽しめるフィッシャーズとは対極の存在とも言える、お騒がせなDJ集団・レペゼン地球のDJふぉいも7月12日、動画で父親の他界を伝えた。

【訃報】DJふぉいの父親が天国へ旅立ちました。

 ふぉいの父親は、知る人ぞ知るシンガーソングライター・松本ケンジさん。レペゼン地球のライブにも度々訪れ、認知していたファンも多かったため、急逝を動画で報告することにしたという。

 思い出を語りながら、父親の実家がある長崎県へ、お墓参りに行くふぉい。マウンテンデューとタバコをお供えして、「生きとるときにもらって嬉しい花の方がよくない?」と、バラの花を手向ける。品行方正とは言いがたく、どこか危ういが、しかし若者を魅了してやまない“現代のロックスター”のような生き方ーーただ、決して破天荒な振る舞いという印象はなく、「親友のような存在だった」という父親に寄り添うように、努めて穏やかに明るく振舞っているように見えた。

「いい思い出も、悪い思い出も、もう新しい思い出は作れんけん、これまでの思い出を大切に愛でるしかない」

 墓前でそう呟いたふぉいは、続けて視聴者に「今のうちに、いっぱい思い出を作れるやつは作っとったほうがいい」と呼びかけた。“レペゼン地球のDJふぉい”というキャラクター上、お涙頂戴にはしない、という意識もあったかもしれないが、「一緒に悪ふざけもした、大好きな親友を笑顔で見送る」という、ピュアな動画に思えた。

関連記事