iPhoneアプリがMacで動く未来はすぐそこ! 「Apple Silicon」が変えるものとは?

 米・Appleは現地時間6月22日、世界開発者会議『WWDC 2020』を開催した。基調講演は史上初となるオンラインでの開催となり、各OSのアップデートについて解説があったほか、「Mac OS X導入以来の大幅なアップデート」として、自社製作のプロセッサ「Apple Silicon(アップル・シリコン)」と、Macへの搭載が発表された。

14年ぶりの大変革

 プロセッサとは命令の実行を司る部品であり、多くのハードウェアの心臓部に当たる。一般にはプロセッサの性能が向上することで情報処理がスムースになり、高速化・省電力化などが期待できる。

 Appleは2006年以降、一貫してMacのプロセッサにIntel社製のCPUを採用しているが、他方でMac以外のデバイスにおいては積極的に自社設計のプロセッサを採用してきた。2010年に発売された初代iPadには、自社製プロセッサ「Apple A4」を搭載。これを皮切りにiPhone、iPad、Apple WatchやAirPodsなど、Mac以外の多くのハードウェアに自社製プロセッサを搭載した。最新のiPad Proには「Apple A12X」が搭載され、これは同社曰く「2018年現在、市場にある92%のモバイルノートより高速だ」という。

 MacにApple Siliconが採用されると、Apple製のすべてのデバイスが自社製プロセッサを搭載することになる。同社は14年ぶりとなるMacのプロセッサ変更について、「Macを新しい段階へ飛躍させる大きな変革だ」と語る。基調講演では、実際にApple Siliconで動作しているMac miniも登場した。

新しいmacOS「Big Sur」で動作するMac miniのスペック。「Processor」の部分に「Apple A12Z Bionic」と記載があり、これは2018年に発売されたiPad Proに搭載されている「Apple A12X Bionic」のマイナーチェンジ版である可能性が高い。

 現在Appleが製作しているAシリーズのプロセッサは、ベースにARM社設計のSoCを採用している。SoCとはシステム・オン・ア・チップの略称で、プロセッサやメモリ、コントローラなどを集積し、同一のチップに収めた回路のことを指すが、特にARM社設計のSoCは省電力と高パフォーマンスを両立する回路として支持を集める。今回発表された「Apple Silicon」も、同じくARM社設計のSoCをベースとしたMac専用のプロセッサとなる。

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