『テラスハウス』“東京”編の功罪 ハワイ編、軽井沢編と比べてなぜ恋が実りづらく衝突が多い?

<人間関係面>東京編はなぜ衝突が多いのか?

 恋愛以外の人間関係においても東京編は他のシーズンと大きな違いを見せている。たびたび例に出している軽井沢編(とくにその前半)は、家族のような雰囲気がある種の魅力であったように思われるが、それに比べると東京編は「みんなで何かをして遊ぶ」という機会が圧倒的に少ないし、住人間の衝突も多く映る。卒業シーンもなんとなくサラッと流れてしまうことが多く、感傷に浸る余韻を与えさせてくれない。

 それはやはり、恋愛面と同じく東京は元々住んでいる場所だから卒業してもすぐに会えてしまうという理由もあるだろうし、他シーズンと比べて仕事に注力しているメンバーが多いなど、多様性豊かなメンバーが集まっていることにも起因しているだろう。テラスハウス内で気に食わない人がいても、外の友だちに逃げやすい。「出会い」と「別れ」の一大事さが、他のシーズンのそれとは比べものにならないのではないかと予想ができる。

 一方で、東京を舞台にしているからこその感動シーンもあったことを忘れてはいけない。漫画家のペッペが、日本にきて初めて雑誌連載を持つことになり、その記念すべき1話目が載った『週刊ビッグコミックスピリッツ』をコンビニへと買いに行く場面。そこでの店員さんとの心温まる会話は、人間関係が希薄であると思いがちな東京で交わされているからこそ、よりエモーショナルに映るのだ。日本で漫画を描くことを夢見てやってきて、最終的にそれを叶える姿。そうした「夢を叶える場所」としての東京の特異性も、今後ますます明るみになってくると面白い。

 『テラスハウス』は日本が誇る恋愛リアリティショー。おそらくこの先長く続いていくだろうが、今後どういった土地を舞台に人間模様が繰り広げられていくのか。筆者としてはやはり、ハワイや軽井沢、湘南など特別感のある観光地を推したい。

■原航平
1995年生まれ、映画好きのライター。「クイック・ジャパン」などでも執筆。
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■番組情報
『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』
2019年5月14日よりNetflixにて毎週火曜に新エピソード先行配信(4週に1週休止)
2019年6月11日よりFODにて毎週火曜深夜0時に配信予定(4週に1週休止)
2019年7月よりフジテレビにて、地上波放送予定
(c)フジテレビ/イースト・エンタテインメント

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